気候・環境

2023.05.17 14:30

海藻は地球最大の「未開発資源」、食料・プラスチック代替品・エネルギーに

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海藻は、世界が直面する環境問題の多くを解決できる可能性を秘めている。第1人者として知られる専門家はそう話す。

ヴァンサン・ドゥミアゼルは、新著『The Seaweed Revolution: How Seaweed Has Shaped Our Past and Can Save Our Future(海藻革命:海藻はどのようにして歴史を形づくり、未来を救うのか)』のなかで、海藻はいまだ有効活用されていない食料資源であるばかりか、肥料や、汚染物質のプラスチックに取って代わる可能性すらあると述べている。

本書刊行直後の2023年5月初めには、国連環境計画(UNEP)が最新報告書「Into the Blue: Securing a Sustainable Future for Kelp Forests(海の中へ:ケルプの森の持続可能な未来を守る)」を発表し、大型海藻ケルプの重要性を訴えている。この報告書によれば、ケルプや海藻の養殖は、世界最速で成長している水産養殖業であり、過去20年の年間成長率は6.2%だという。

しかしその一方で、ジャイアントケルプが生い茂る「ケルプの森」は、すべての大陸沿岸部で減少傾向にあり、その40%から60%がここ50年で荒廃したと、報告書には書かれている。

ケルプの森という貴重な海洋生態系は、気候変動と各地域が直面するさまざまな問題によって存続が脅かされていると報告書は警鐘を鳴らしている。

慈善団体ロイド・レジスター財団の食糧計画ディレクターを務めるドゥミアゼルは、メールによる取材で、海藻は私たちが抱えている食糧供給問題に対する直接的かつ間接的な答えになりうると述べた。

海藻は1万以上の種類があり、なかにはタンパク質を非常に多く含むものもあるという。たとえば、ポルフィラ属は、その40%がタンパク質だという。この量は、大豆のおよそ2倍に相当する。大豆は世界で最も一般的なタンパク源の1つであり、特に家畜の飼料になっている。

しかし、海藻の養殖は「複雑」でもあると、ドゥミアゼルは述べている。

「各種の海藻について理解を深め、そのメカニズムと農薬を使わずに養殖規模を拡大できる方法を解明するためには、さらに多くの海洋生物学者や科学者の力が必要だ」とドゥミアゼルは話す。

ドゥミアゼルの新著によれば、海藻にはプラスチックの代替品になりうる可能性もあり、生分解性の建築資材として活用できる可能性もあるという。将来的に、廃棄物管理において重大な役割を果たすかもしれないのだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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