興味深いことに、海藻製のプラスチックは、可食部分を取り除いた残りの部分からも作られているとドゥミアゼルは説明している。
海藻の利点は、プラスチックの代替品になることだけにとどまらない。たとえばファッション業界では、コットンの代わりに海藻を利用できるという。
「こうした海藻利用の取り組みはすばらしいものだが、それにかかるコストはプラスチックを大きく上回る」とドゥミアゼルは話す。「だからこそ、規模を拡大しなければならないのであり、それには全面的な大規模投資が必要となる」
本書ではさらに、海藻には炭素を吸収する力があると書かれている。その力がとりわけ優れているのが、ワカメ、コンブ、ヒジキなどが含まれる褐藻類だという。
ドゥミアゼルによると、海藻を家畜の飼料にすれば、メタン排出量が削減できる。また、海藻は水産バイオマスとして活用すれば、代替エネルギー源にもなりうるという。ただし、この件については科学者のあいだで大きな議論が起きている。
「本書で言及した褐藻類は、高さが最大60メートルに達する。従って、まさに海中に生い茂る森としてとらえることが、理解する上では最善だ」
「海中の森は、そのサイクルを通じて、炭素を吸収しながら成長していく。そのサイクルの長さは、地上の木々のサイクルよりはるかに長い場合が多い」
ドゥミアゼルによれば、海藻から出た生物資源は、海底に沈み、何百年ものあいだ、そのままそこにとどまるという。その間、炭素をそこに閉じ込めておけるということだ。
本書では、海藻の養殖で直面しうる問題もいくつか指摘されている。たとえば、安全基準が十分に整備されていないこともその1つだ。
安全かつ持続可能な業界の確立を目指して先頭に立っているのが、Global Seaweed Coalition(世界海藻連合)だ。同連合は、ロイドレジスター財団と国連グローバル・コンパクトが、フランス国立科学研究センター(CNRS)と共同で立ち上げた世界的パートナーシップであり、海藻産業の規模拡大を目的としている。
「気候危機はもう絶対に避けることができない。しかし海藻の養殖は、世界が立ち向かわなければならない多数の問題に対する、持続的で確実な解決策に必ずなる」とドゥミアゼルは述べている。
(forbes.com 原文)