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2023.05.16 09:30

グーグルの「生成AI検索」がニュースサイトを破壊する

Google I/O 年次開発者会議でのキャシー・エドワーズ(Melina Mara/The Washington Post via Getty Images)

グーグルは、5月10日にカリフォルニア州マウンテンビューで開催された年次開発者会議で、Gmailの文章の作成支援ツールや「イマーシブビュー」と呼ばれる没入型のGoogleマップのルート案内機能などを発表した。しかし、その中にはテック業界以外ではあまり注目されなかった画期的機能が含まれていた。

グーグルは、人工知能(AI)を用いて検索結果を提示する方法を変えようとしている。そして、この機能は、起こりうる結果を誇張していうなら、すでに生き残りに苦戦しているオンラインパブリッシャーたちに核爆弾を投下するものになりそうだ。

グーグルは10日のイベントで、検索エンジンの検索結果に生成AI(ジェネレーティブAI)を導入した機能を実演した(この機能は、まだ一般には展開されていない)。同社は「3歳以下の子どもと犬のいる家族が旅行に行く場合、米国のブライスキャニオン国立公園とアーチズ国立公園のどちらが良い選択肢になるか?」という検索を例に挙げた。

従来のグーグル検索では、このような質問は必ずしも包括的な情報を得ることにはつながらない。しかし、生成AIを使った検索では、子どもと犬の年齢を考慮した会話形式で、答えが返ってくる。

生成AIは、オープンなウェブ上にあるすべての情報から学習を行い、それをもとに会話調の回答を作成する。「ユーザーが特定の情報を深く掘り下げたい場合は、スナップショットに添えられたリンクから確認できる」と、グーグルはプレゼンテーションで説明した。

なぜこの検索がパブリッシャーに害を及ぼすことになるのかというと、グーグルはウェブで利用可能なコンテンツを使って、質問に対する答えを作成しているが、同社の検索エンジンの利用者は、実際にその情報が含まれているページを訪問する必要がなくなるからだ。一方、パブリッシャーたちの多くは、サイトに掲載した広告から収益を得ており、サイトの訪問数の減少は死活問題だ。

つまり、ニューヨーク・タイムズやフォーブスのような大手のパブリッシャーだけでなく、Substackのような場所で執筆している独立系の作家やジャーナリストも影響を被ることになる。
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編集=上田裕資

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