このほど、マカオカジノ界の大物ローレンス・ホーのSPAC「ブラック・スペード・アクイジション」と合併することで合意した。ニューヨーク証券取引所への上場を予定する。同社は2年ほど前から、世界での事業拡大に向けた資金を調達するため、米国での新規株式公開(IPO)を模索してきた。
ビンファストのグローバル最高経営責任者(CEO)を務めるトゥイ・レは発表文のなかで「ビンファストは国際市場に迅速にリーチできることをすでに証明しています。ブラック・スペードとのパートナーシップと米国での上場によって、世界を舞台とした野心的な目標に向けた資金調達への道が開きます」と述べている。
ビンファストはノースカロライナ州での工場建設を計画しており、ベトナムからはすでに昨年11月、米国への出荷を始めている。EV最大手のTesla(テスラ)に対してそのお膝元で挑む格好だ。年内にカナダや欧州への出荷も始める見通しとなっている。
ビングループと、グループの総帥でビンファストの支配株主でもあるファム・ニャット・ブオンは最近、ビンファストの世界展開を加速させるため、同社に新たに25億ドル(約3400億円)を注入する方針も示している。
ブラック・スペード・アクイジションのデニス・タム会長兼共同CEOはビンファストについて「EVをとり入れたライフスタイルというトレンドに乗るのにとても良い位置につけている。ベトナムと世界での今後の成長にとてもわくわくしている」と期待を示している。
ビングループは時価総額でベトナム最大の企業グループで、自動車製造のほか不動産、小売り、電子機器、ヘルスケア事業などを手がける。フォーブスのリアルタイム長者番付によると、ブオンは純資産額42億ドル(約5700億円)でベトナム一の富豪。
ブラック・スペード・アクイジションは2021年に米国でIPOを行い、1億6900万ドル(約230億円)を調達している。同社にはマカオの「カジノ王」として知られた故スタンレー・ホーの息子で、カジノ運営会社メルコ・インターナショナルの会長を務めるホーの投資会社ブラック・スペード・キャピタルが出資している。
(forbes.com 原文)