診断方法
扁桃腺やアデノイドが大きく、特定の症状が報告された場合、医師は睡眠時無呼吸症候群を疑うかもしれない。子供のいびきや眠気、呼吸困難のエピソードがあればより疑わしいが、正しく診断し重症度を確かめるには睡眠検査を受けるのが一番だ。この検査は、病院の特別な場所で行われる。子どもは、睡眠や呼吸、酸素濃度を測定するコンピューターに接続されている、細いワイヤーを肌につけられる。年長児の場合は夜間に検査が行われ、乳児の場合は日中に行われる場合もある。この測定は不快感や痛みを伴うものではないため、大半の子どもは検査中に眠ることができ、また両親はずっとそばにいることができる。治療方法
子どもの睡眠時無呼吸症候群が扁桃腺やアデノイドの大きさに起因すると考えられる場合、通常まずは扁桃腺やアデノイドを摘出する。多くの場合、これで睡眠時無呼吸症候群は治る。顔の骨の異常が原因の場合は、手術で治すこともある。手術ができない場合は、CPAP療法という治療が最適だ。これは、小さなポンプで空気を送り、鼻の上に装着したマスクから穏やかな圧力で空気を供給するものである。夜間に使用するだけですぐに治療を始められ、適切なサポートがあればほとんどの子どもはうまくCRAPを使用することができる。肥満が原因の場合は、減量することで症状が改善されたり、完治する場合もある。薬で治療できるのか
現在、睡眠時無呼吸症候群の治療に有効な薬剤はない。多くの試みがなされており、また新たな治療薬も販売されているが、有効であることはいずれの薬も証明されていない。良い睡眠習慣を持つということ
睡眠時無呼吸症候群は、上記のような治療が必要であるが、子どもが良い睡眠習慣を持つことも非常に重要だ。寝る時間、起きる時間を決めておくことが大切である。寝る前はゲームやテレビなどの刺激的なものから子どもを遠ざけ、静かで暗い寝室をつくり、午後から夕方にかけてはカフェイン飲料(コーラやホットチョコレートなど)を与えないようにするとよい(『良い睡眠習慣』参照)。子どもが抱えるさまざまな睡眠の問題
いびきや睡眠時無呼吸症候群は一般的な症状であるが、子どもは他の睡眠障害に悩まされることもある。睡眠時無呼吸症候群や睡眠時恐怖症は小児期によくみられる症状で、子どもや保護者に苦痛を与えることがある。また、てんかんや喘息、嚢胞性線維症などの基礎疾患も、睡眠障害を引き起こす可能性がある。(『学齢期の子どもの睡眠問題と睡眠障害』『学齢期の子どもの行動的な睡眠問題』参照)。子どものいびきや睡眠時無呼吸症候群について心配な場合は、ぜひともまずはかかりつけの医師に相談して欲しい。
※本稿は、オーストラリアの健康な睡眠に関する団体Sleep Health Foundationのサイトからの翻訳転載である。