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2023.05.25

入山章栄教授と考察する「イノベーションの結節点」 ビジネスマッチングエージェントが人の力を大切にする理由

日本企業に不足しているイノベーション。その解決には「知の探索」が必要と唱えるのが早稲田大学 大学院経営管理研究科教授の入山章栄だ。

入山との対話から、AIの時代にあって“人”を介するビジネスマッチングエージェント「レディクル」の可能性が浮かび上がる。

日本企業でイノベーションが生まれにくいのは、自社周辺にとどまる認知の狭さが要因。業界の垣根を越えたより遠くへ「知の探索」を行うことで解決は可能だとする、早稲田大学 大学院経営管理研究科教授で経営学者の入山章栄(以下、入山)。BtoBの可能性を広げるビジネスマッチングエージェント「レディクル(Ready Crew)」を展開するフロンティアでサービス統括本部 本部長、取締役を務める田中翔理(以下、田中)。ふたりの対話から浮かび上がってきたのは、AI時代となってなお重要な、人間的なビジネスのあり方だった。

見つけることよりも見つけられること


──入山先生は日ごろより、日本企業のイノベーション不足を課題に挙げられています。

入山:イノベーションは、異質なものの組み合わせから生じます。しかし日本企業の大半の視野は、長きにわたって同じ業界にとどまり、業界の垣根を越えた遠くの地点まで「知の探索」を行うことはしてきませんでした。結果、企業は新たな事業機会を生み出すことができず、未来社会での自社のあり方を描けなくなっています。

そこで多くの企業が、状況を突破するために、異質な企業との協業の可能性を“見つけよう”としているのですが、私はそれと同時に、“見つけられる”ことも重要だと考えています。中小企業を中心に、よい技術やソリューションをもっているのに、狭い領域でしか発信できておらず、見つけられていないことも課題だと思うからです。

早稲田大学 大学院経営管理研究科教授 入山章栄

早稲田大学 大学院経営管理研究科教授 入山章栄



例えば、長年同じ展示会に出展し続けている金属加工会社が挙げられます。業務が年々先細っていたのですが、2代目が後を継いだタイミングで、それまで参加したことがない別業界の展示会に出展したのです。すると存在価値を知られただけで、大口の顧客を複数獲得して、ビジネスが拡大しました。製造業に限れば、Amazonがこうした“見つけられる”仕組みをつくっています。フロンティアの「レディクル」は、そうした業界を区切った取り組みではないですよね?

田中:はい。ただWeb系制作、デザイン、システム開発、内装施工などの制作領域の企業が現状は多くなっています。30人以下の中小企業がプロモーションをしたいが予算の関係で大手にはとても頼めないというときの適正規模の企業の紹介や、逆に中小規模の受注企業を発注側である大手企業とマッチングすることも多いですね。

ただビジネスとして成立するためにはマッチングだけでなく、具体的に案件をつかむ(契約する)必要があります。レディクルは見つけてもらうプラットフォームとしてだけでなく、より効率的にビジネス獲得をハックする仕組みでもあります。

入山:確かに、素晴らしい技術をもっているのに、黙っていても発注がくることに慣れてしまっていて、新規開拓する営業力のない企業は無数にあります。特に自社業界外への営業は想像の範囲を超えるようです。断られる恐怖が先に立ってしまう。

田中:フロンティアはもともと営業を軸にした企業として設立されたこともあり、“断られて当たり前”という文化があります。そうした人材を育てて定着させることにもノウハウがありますので、そこも強みだと思っています。

レディクルは一見デジタルのプラットフォームに見えますが、その中身は人間の営業ノウハウを結集した、非常に人間的なものです。そうした力で、契約成立までの工程をサポートしているのです。

AIでは不可能な「感情営業」


──近年はAIやChatGPTの登場で、人間の仕事が奪われるのではないかともささやかれています。

入山:それについては、社会学者A・R・ホックシールドが新たな概念を発表しています。かつてあった肉体労働の時代は機械化によって終了し、頭脳労働の時代もAIやChatGPTの登場によって終了しようとしている。そうなると残されるのは、人間ならではの「感情労働」ではないか。つまり人間同士のエモーショナルなコミュニケーションが最後に残るというのです。

具体的にはトリドールホールディングスが展開する「丸亀製麺」が好例です。同社は機械化やDXで人が行ってきた作業を限界まで置き換え、従業員が人間でしかできないことに集中できる環境をつくり出しました。結果、昨年のある顧客満足度ランキングで日本ブランド1位をマークするほど、従業員の接客スキルが上がったのです。そうした意味でいえば、レディクルは感情労働であり、「感情営業」なのではないですか?

田中:営業で定期的に訪問すると、1年で1度も発注しない人は少ない。そして人柄がわかるまでコミュニケーションを取ることができれば、その1度を予測できるようになる。そこがビジネスチャンスだと、弊社代表の高橋(政裕)はよく話しています。つまり訪問頻度と人柄の組み合わせで、潜在的なチャンスのタイミングをつかむべきだというのが、レディクルのビジネスの根っこにあるのです。確かにそれは感情営業なのかもしれません。

フロンティア 取締役 サービス統括本部長 人事部長 経営戦略室長 田中翔理

フロンティア 取締役 サービス統括本部長 人事部長 経営戦略室長 田中翔理


ビジネスマッチングエージェントの可能性


入山:経営理論に「ストラクチャル・ホール理論」(ロナルド・S・バート)というものがあります。ストラクチャル・ホールは複数の企業A、B、Cの異なるネットワークの結節点ともいうべき存在で、間に入って情報をそれぞれの企業に広げる役割を果たします。ストラクチャル・ホールなしにAと、BやCをつないでも成立しそうですが、実際は無理なのです。なぜならAとBやCはそれぞれ別業界に属し、異なるカルチャーや言語をもっているからです。つまりストラクチャル・ホールが翻訳、わかりやすいように抽象化しているからこそ、機能するのです。

レディクルのビジネスモデルは、ストラクチャル・ホールそのもの。発注側、受注側の各企業の要件をよく聞き、本来なら出合わないはずの企業をマッチングしています。どちらかというとキュレーターのような役割ともいえるでしょう。そうしてときには業界を越えて、各企業が想定しない企業同士を結びつけている。それはまさにイノベーションを生み出す取り組みです。しかもそこにはアナログな工程も含まれている。そこがポイントですね。

田中:デジタルだけでは取りこぼす企業もありますから。もちろんデータベースは組んでいますが、基本的には弊社コンシェルジュが一社一社把握して、発注側の要件定義が曖昧なら壁打ちを行いますし、双方の担当者レベルの相性まで吟味しています。

さらにレディクルでは、BtoBにありがちな価格や決済フローの不透明感もクリアにしていきたいと考えています。そうした課題を一つひとつ克服していくことで、企業と企業のイノベーティブなビジネスが加速することに、貢献していきたいと思っているのです。

レディクル
https://readycrew.jp

たなか・しょうり◎大阪大学卒業後、古野電気入社。デジタルマーケティング領域で起業後、2020年にフロンティアに参画、21年に取締役就任、22年より現職。

いりやま・あきえ◎慶應義塾大学経済学部卒。2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院にてPh.D.を取得。著書に『世界標準の経営理論』など多数。早稲田大学 大学院経営管理研究科教授。

Promoted by フロンティア / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Masahiro Miki / edit by Akio Takashiro

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