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2023.05.15 12:00

大胆さと「責任ある姿勢」の両立を目指すグーグルのAI開発

Getty Images

グーグルは、人工知能(AI)の競争においてライバルに遅れをとったという批判をここ数カ月に渡り浴び続けた後、同社のスンダー・ピチャイCEOが7年前に打ち出した「AIファースト」のポジションを取り戻すための、一連のAIツールを披露した。

5月10日に開催された年次開発者会議I/Oで、グーグルは、AIを使った複雑な画像の編集作業を可能にするツールや、メールの作成支援ツール、検索エンジンに生成AIを組み込むことなどを発表した。

グーグルの幹部は、彼らが革新への意欲と能力を失ったというイメージを修復することを目的とした2時間を超える基調講演の中に「bold and responsible(大胆さと責任ある姿勢)」という言葉を繰り返し口にした。

同社のテクノロジー&ソサエティ担当のジェームス・マニイカ上級副社長は「長期的に真に大胆であるためには、責任ある姿勢が重要だ」と語った。

グーグルは、10日のイベントで現実の枠を広げるプロダクトと、現実を守ろうとするプロダクトの両方を発表した。新たな写真編集機能では、明るさや色味を変えるだけなく、例えば、滝の写真を撮ったら、AIを使って手に水がかかっているように見せることが可能だ。また、空を加工して、晴れていないのに晴れているように見せることもできる。

一方「責任ある姿勢」をアピールするために同社は、AIが生成した画像を識別するための「透かし」とメタデータ機能を発表した。この問題は3月に、AIが生成した偽のローマ教皇フランシスコの画像が、大衆を騙したことで大きくクローズアップされた。

昨年11月にOpenAIがChatGPTをリリースして以来、グーグルはこの分野で遅れをとったという批判にさらされている。ChatGPTはグーグルの研究者が開発した技術をベースとしたもので、グーグルは2年前にLaMDAという同様のチャットボットを発表したが、リリースはしていなかった。

関係者は、ピチャイのリーダーシップに疑問を持ち始め、遅くて優柔不断だと揶揄するようになった。その後、コードレッド(緊急事態)を宣言したグーグルでは、共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが現場に復帰して、コードをいじったりもした。ピチャイはその後、社内のいくつかのチームをAI開発に専念させたと報じられている。

グーグルは、今回のイベントで、さらに強力な大規模言語モデルの「PaLM 2」や、AI機能が詰まった新たなPixel端末、AI製品をいち早くユーザーがテストできるプログラムの「Labs」などを発表した。

しかし、今回の発表におけるグーグルの口調は終始控えめで、5年前のI/Oで「Duplex」と呼ばれる異常なほど人間臭いAIツールを発表したときとは、対象的だった。Duplexのデモは人々を感動させた一方で、反発を招いていた。

「今回発表したテクノロジーはまだ初期段階のもので、まだやるべきことがたくさんある」とマニイカ上級副社長は説明した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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