5月2日に公開されたこの人工知能(AI)デートボットは、米誌Fortune(フォーチュン)の記事に取り上げられた直後の48時間で大きな反響を集めた。創設者で写真共有アプリSnapchat(スナップチャット)に180万人のフォロワーを持つ人気インフルエンサーのカリン・マージョリーのツイートによれば、利用者数は5月10日までに500%増加。23歳のマージョリーは、1分当たり1ドル(約136円)を支払ってでも彼女と仮想チャットを楽しみたい1000人以上のファンから、これまでに7万1610ドル(約970万円)超の収益を得たという。
マージョリーはディープフェイクのスタートアップであるForever Voices(フォーエバーボイシズ)と協力し、YouTube(ユーチューブ)にアップロードした数千時間分の動画を使って、AIチャットボットを自分そっくりに話したり行動したりするよう訓練した。
「AIに変身する最初のクリエイターになるため、自分のコンテンツ、音声、性格など2000時間以上(のデータ)をアップロードした。今では何百万人もの人々が、まったく同時に私と会話できるようになった」と、マージョリーはTwitter(ツイッター)で明かしている。
Forever Voicesの創業者ジョン・マイヤーの説明によると、ユーザーはApple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、デビットカードで任意の金額を前払いし、1分間に1ドルの課金でチャットボットのマージョリーとの会話を楽しめる。収益は同社とクリエイターの間で分配される。
「CarynAIは、リアルな双方向オーディオとAIを通じてお気に入りのインフルエンサーとつながり、デートする魔法を体験できる当社の新しいフラッグシップ製品『Forever Companion(フォーエバー・コンパニオン)』の一環だ」とマイヤーは述べた。収益の分配率は「半々」だという。「AIの人格や音声、プログラミングなどの作成はすべて私たちが行う。クリエイターが私たちといっしょにAIを使ったり運用したりするための月額料金は発生せず、低い参入障壁で簡単に利用できる。つまり、この7万ドルは総収入ということだ」
ファンだけではない
Forever Voicesがユーチューブに投稿したデモ動画を見る限りでは、CarynAIとのデートはかなり当たり障りのない印象だ。「こんにちは、ジョン。会えてうれしいわ。今朝はウエストハリウッドのフラワーリング・ツリー・カフェでブランチを食べてきたの。とってもおいしかった。あなたは今日、何してるの?」とCarynAIが話しかける。
ジョンが「うん、1日中仕事だったよ。でも今夜は少しリラックスしようと思う」と答えると、CarynAIは次のように応じる。「いいわね。リラックスのためにヨガや瞑想をやってみたことはある? くつろげるし、頭もすっきりする最高の方法よ。今夜は、そうね、バーチャルディナーデートをしたりいっしょに映画を見たりするのもいいかも。どう?」