UNIQLOがアメリカを「征服」する日

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「かつてGAPが米国で爆発的に広めたようなファッションへの需要がまだ残っているとしたら、それを再びかき立てるのはユニクロになるでしょう。GAPはもうGAPらしさを表現する仕方がわからなくなってしまったようなので、当面、こうした需要を再びつくり出すことは期待できません」

ライバルも虎視眈々

もっとも、これまでゆっくりとしたペースだった米国での店舗数拡大を、ここへきて加速しているファストファッションブランドはユニクロだけではない。

ビジネス情報サイトの「インサイダー」によると、アイルランドの「Primark(プライマーク)」も今年、新たな州での出店も含め、米国で店舗数を拡大する計画だ。プライマークの現在の米国店舗数は17店だが、2027年までに60店に増やすことをめざす。今回の新規出店では、南部の州で「大きなプレゼンス」を築くことが狙いだという。 

マーチャンダイジング・メトリクスのスウォードは「格安な普段着分野でのプライマークの役割は過小評価すべきではありません」と注意を促す。「プライマークの店舗が増えるのは各社にとって頭の痛い問題になるでしょう」

業界の専門家からは、ユニクロもプライマークも、やはりプレゼンスを拡大していくことが、米国のファストファッション界に新たな装いをもたらす道につながるとの意見も出た。

「ユニクロとプライマークに共通して言える問題は、どちらも米国ではニッチなブランドにとどまっていることですが、それは店舗数が限られているからです」とグローバルデータのソンダースはいう。「どちらも出店を増やせば力強い成長につながるでしょうし、既存プレイヤーは脇へ追いやられていくでしょう。とはいえユニクロにしてもプライマークにしても、米国で支配的な勢力になるには時間がかかるでしょう。米国は巨大であり、簡単には征服できません」

これに対して、繊維メーカーのベクター・テキスタイルズの最高経営責任者(CEO)であるマーク・セルフは「簡単なことです。もっと店舗を増やせばよいだけなのですから」と述べ、こう予言した。「ユニクロは米国でも一大勢力になるに違いありません。米国に特化したプロモーション戦略をさらにいくつか追加すれば、米国でもきっと大きな成功を収められるでしょう」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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