ロイターは昨年、コロナ禍で低迷する米国の衣料品小売各社のなかで、ユニクロは異彩を放っているとも報じていた。記事では、ユニクロが北米に進出して17年目にして初めて通期で黒字化を達成できそうだと伝え、物流管理の改革や、値引きをやめた新たな価格戦略が功を奏していると解説した。
前出のモリスは「利益を出せるまで17年というのは確かに長い道のりですが、そもそも米国市場への参入は決して容易なものではないのです」と指摘する。
「GAP」を埋めるユニクロ
米国市場では、ユニクロが埋めるのにあつらえ向きの「すき間」が生まれているとみる向きもある。ユニクロはすでに、それを埋めつつあるかもしれないという。「わたしは以前から、ユニクロはGAP(ギャップ)とガチンコ対決する存在になるとにらんできました」と調査会社マーチャンダイジング・メトリクスのファウンディングパートナー、ジェフ・スウォードは述べている。しかし「GAPが年々、陳腐化してきた結果、ユニクロが埋められる空白が生まれています」
「どちらのブランドも、飾らない普段着を展開しているわけですが、GAPがますますプロモーションだらけになっているのに対して、ユニクロはあまり値引きをしないでもやっていけているというのなら、大変なことです」(スウォード)
ユニクロは「GAPの上位互換」との見方を示すのは、コンサルティング会社WDパートナーズのエグゼクティブ・バイスプレジデント、リー・ピーターソンだ。