「人手不足倒産」が過去最多に 建設業、サービス業で顕著

Getty Images

5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられた。コロナ禍の沈静化とともに、経済活動が活性化。帝国データバンクが4月に行なった人手不足の動向調査では、人手不足の割合がコロナ前の水準に達していることが分かっていたが、ついに人手不足を要因とした倒産(人手不足倒産)が過去最高レベルとなっていることが、同社の調査で明らかになった。

4月1日〜30日、1000万円以上の負債を抱えた倒産を対象にした調査によると、人手不足倒産は2023年4月に30件判明。集計開始(2013年1月)以降、最多となった。コロナ禍直前の2020年1月以来、約3年ぶりに20件台に達した先月(21件)に続き、人手不足倒産が急増している。

中でも従業員の転退職による倒産「従業員退職型」の人手不足倒産は、2023年1月から4月にかけて23件に上り、前年同期(14件)と比べ大幅に増加。業種別では、「建設業」「サービス業」(各11件)が最多となり、「建設業」では、有資格者や営業担当などの退職による「従業員退職型」の倒産が顕著に。一方の「サービス業」では、システムエンジニア不足の「ソフトウェア業」や看護師不足の「看護業」で「人材不足型」の倒産を確認。さらに深刻なドライバー不足が続く「運輸業」でも、2件発生した。

帝国データバンクでは、「さらなる人流増加による需要増のほか、物価高に伴う賃上げ機運が高まっていくなかで、人材不足と人件費の高騰が、コロナ禍でダメージを受けた中小・零細企業にとって大きなリスクとなることが懸念される。こうしたコロナ禍では表面化しなかったリスクの高まりにより、人手不足に起因した倒産がさらに増える可能性が高い」と分析した。

プレスリリース

文=大柏 真佑実

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事