AGCMは、アップルがサードパーティーのアプリ開発者に対し、自社製アプリよりも厳しい個人情報保護方針を適用する二重基準を設けていると指摘している。2021年4月に導入されたこの方針により、サードパーティー製アプリでは、アップル製アプリよりも目立つ形でユーザーに対しデータ追跡に同意するかどうかを聞くプロンプトが表示されるという。
また、サードパーティー製アプリのプロンプトは、アップル製アプリよりも強い文言となっていて、データ追跡への同意をユーザーに思いとどまらせるような表現を含んでいるとAGCMは指摘している。加えて、サードパーティーのアプリ開発者は利用できるツールが限られており、ユーザー層の把握や広告キャンペーンの成否の確認が制限されているという。
AGCMは、アップルは自社の利益のためにサードパーティーの開発者を不利な立場に置いていると指摘。これによりサードパーティーの開発者の広告収入が減り、競争が抑制される恐れがあると説明している。
フォーブスはアップルにコメントを求めたが、返答はなかった。
各国の規制当局は近年、テック大手の影響力を抑える措置を強化してきている。欧州の規制当局は特に積極的で、世界で最も厳しい部類に入る規則を設けている。競争とプライバシーを監視するそれぞれの機関が競うように調査を行ってきているが、特に個人情報の扱いに関する規制当局の影響力は大きい。
この種の調査は完了までに時間を要し、何年もかかる可能性もある。加えて、判断について異議が唱えられる可能性があり、そうなると幕引きまでの期間はさらに長くなる。
欧州の反トラスト法違反に対する罰則は厳しく、優越的地位を乱用したと判断された場合、前年の年間売上高の最大10%の罰金が科される。だがこれは上限で、そこまで高額の罰金が科される可能性は低い。2022年会計年度の売上高が3943億ドル(約53兆円)だったアップルの場合、10%の罰金は約400億ドル(約5兆3000億円)になる。
EUの強力な競争監視当局は10日、アップルのモバイル決済システムを調査しており、決済チップの使用について情報収集していることを明らかにしていた。EUは昨年、アップルが自社端末のモバイルウォレット市場における競争を不当に制限しているとして、同社に異議告知書を送付している。
(forbes.com 原文)