22歳の彼は、冬休みの間にGPTZeroを開発し、この問題に対処した。そして、春休みに今後の開発のための資金調達に動いた。
「今はまるで、パンドラの箱が開いたような状況だ。悪用される可能性がたくさんある」とティアンは1月のフォーブスのインタビューでChatGPTについて語っていた。
過去5カ月で120万人のユーザーを集めたGPTZeroは5月8日、350万ドル(約47億円)のシード資金をアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルのUncork CapitalとNeo、さらにStability AIのCEOのエマド・モスタクから調達したと発表した。また、ロイターの元CEOのトム・グローサーとニューヨークタイムズの元CEOのマーク・トンプソンもこのラウンドに参加した。
GPTZeroは、他のオープンソースのAIモデルを組み合わせた独自の大規模言語モデルを使用してテキストをスキャンし、ニュース記事や質問と回答など、人間とAIが作成したテキストの両方で学習を行う。既存の生成AIモデルから学習を行うことで、このツールは特定の文章がAIで生成されたものである確率を導き出す。
しかし、ティアンはこのツールに常に改善の余地があることを認めている。GPTZeroは機械学習と人間が介入するプロセスの両方を用いて、さまざまなAIプログラムのコンテンツを再現し、AIが作成したテキストをより高い精度で検出できるように進化を続けている。
出版業界や政府の利用も視野に
このツールは、Bardとして知られるグーグルのLaMDaやフェイスブックのLLaMa、OpenAIのGPT-3やGPT-4など、さまざまなAIモデルのテキストを検出できる。GPTZeroはこれまで、CanvasやK16 Solutionsなどの教育機関と提携し、トレーニングデータを収集した。教育機関は、このツールを学生がChatGPTを使用した文章を検出する場面で役立てているという。ティアンはさらに、出版やソーシャルメディアなどの企業顧客にサービスを売り込む計画で、政府も潜在的な顧客になると考えている。GPTZeroはすでに、月額9.99ドルのプランで3000人の有料会員を獲得している。
同社また、テキストに含まれる事実の正確さと引用元を分析するOriginと呼ばれるブラウザプラグインを近々発表する予定という。Originは、AIが生成したコンテンツの事実確認や引用の検証を行うことで、人工知能時代のメディアリテラシーを向上させることを目的としている。「このツールの目的は、AIツールを使う学生を捕まえることではなく、人間らしさを守ることにある」と彼は話した。
(forbes.com 原文)