2023.05.13 08:00

イーロン・マスクを苛立たせる「グリーン水素」を用いた充電網

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水と再生可能エネルギーを使って作られるグリーン水素の市場でリーダーを目指すPlug Power(プラグパワー)は、電気自動車(EV)のトラックや商用車向けに新しいタイプのオフグリッド充電ステーションを開発した。これは、Tesla(テスラ)のドライバーにとって朗報かもしれないが、水素エネルギーを長年批判してきた同社CEOのイーロン・マスクを苛立たせることになるかもしれない。
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ニューヨーク州レーサムに本社を置くプラグパワーは、5月1日にカリフォルニア州アナハイムで開催された米国最大のEVと水素燃料電池車の展示会「Advanced Clean Truck Expo」で、新型の充電ステーションを発表した。このステーションは、1万8000ガロン(約68キロリットル)の液体水素タンクと、プラグパワーが製造する定置型燃料電池システムを組み合わせ、60メガワット時以上の電力を発電する。同社によると、これは600台以上のEVが充電可能な電力だという。

EVの乗用車やトラックが増えるにつれ、送電網への負担が懸念される。フリートオペレーターは、多くのトラックやバン、配送車を同時に充電するために、電気インフラに多額の投資をする必要がある。プラグパワーは、ゼロエミッションの水素を使った充電ステーションが、このような課題の解決策になると考えている。

「水素発電を求める顧客からの引き合いが増えている。我々の充電ステーションは、最大のものの1つになると予想している」と、プラグパワーのグローバルアカウント担当、ホセ・ルイス・クレスポは話す。最初の充電ステーションは第2四半期末に設置される予定だが、クレスポは顧客名を明らかにしなかった。
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マスクは、過去にスペースXのロケットの燃料として水素を使用したことがあるが、長年に渡り燃料電池を「フールセル(バカな電池)」と呼び、製造や貯蔵にコストがかかる、非効率なクリーンエネルギーと酷評してきた。

アマゾンもグリーン水素を導入

プラグパワーは、アマゾンが倉庫で使用するフォークリフトなど数千台の車両向けにグリーン水素を供給している。同社は、充電ステーションを所有しない顧客向けに定置型燃料電池と水素を供給する計画で、将来的にはEV充電事業者にもサービスを提供する可能性があるという。

クレスポは、プラグパワーの手法が水素の最も効率的な利用法ではないことを認めている。「我々は、電気を水素に変換して輸送し、再び水素を電気に変換してバッテリーを充電しており、多くのステップが必要だ」と彼は述べた。

マスクは、今年に入って水素に対する懐疑的な見方を少し改めている。彼は、3月1日に行われたテスラの投資家向けウェブキャストで、鉄鋼の製造などの用途にグリーン水素の利用を検討していると述べた。さらに、彼は次のようにも述べた。

「産業プロセスにおいて、ある程度の量の水素は必要だ。個人的には、輸送分野での水素の利用は有意義でなく、使うべきでないと考えている」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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