大戸屋や牛角の廃食用油で航空燃料、コロワイドがSAF国産化推進に参入

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廃食用油から作られる「SAF」(持続可能な航空燃料)が注目されています。日本政府は2030年までに国内で使われる航空燃料の1割をSAFにする方針を示していますが、コストの関係で国産化が思うように進みません。そんななか、かっぱ寿司や大戸屋などの外食チェーンを展開するコロワイドグループが、各店舗から出る廃食用油を回収しSAFを製造する国産SAFのサプライチェーン構築に向けた取り組みを開始しました。

SAFは、原料の収集から製造、燃焼までを含めたライフサイクル全体で、二酸化炭素の排出量が従来の航空燃料の約2割と非常にエコであり、原油に依存しないことから各国がSAFへの切り替えを急いでいます。しかし現在、SAFを大量に供給できるのはフィンランドのネステなどごく一部の企業に限られ争奪戦になっています。国産化が急がれるところですが、エネルギー庁の報告では従来のジェット燃料が1リットルあたり100円なのに対して、現在の製造コストは200円から1600円と高く思うに任せません。そこで、これまでも廃食用油を飼料やバイオディーゼル燃料の製造に利用してきたコロワイドは、SAFの製造に乗り出しました。

国産SAF製造の取り組みとしては、昨年、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、コスモ石油の3社がサファイア・スカイ・エナジーを設立し、年間3万キロリットルのSAFを生産するプラントを2024年から2025年に建設する計画を公表しています。コロワイドは、そのサファイア・スカイ・エナジーで自社グループから出た廃食用油をSAFに再生する国産サプライチェーンを構築すべく、廃油回収を行うレボインターナショナル、SAFを製造するサファイア・スカイ・エナジー、そして事業全体を取り仕切る日揮ホールディングスと「廃食用油の供給および利用に関する基本合意書」を締結しました。

コロワイドグループは、かっぱ寿司、大戸屋ごはん処、ステキ宮、FRESHNESS BURGERなど、直営とフランチャイズを含めて2300店舗を有し、揚げ物用の食用油の調達量は年間約3800キロリットルにのぼります。その廃油のうちSAFの製造に使われるのはおよそ3割程度ということです。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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