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宇宙

2023.05.12 13:30

「王家の星」の周囲に小惑星帯と惑星系が存在か ウェッブ撮影画像が示唆

ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えたフォーマルハウトを囲むデブリの輪(NASA, ESA, CSA, A. Gáspár (University of Arizona). Image processing: A. Pagan (STScI))

太陽系からわずか25光年の距離にある明るい恒星「フォーマルハウト」を捉えたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の最新画像から、この恒星が太陽系と非常によく似た小惑星帯と惑星系を持っている可能性が示された。

フォーマルハウトは4億4000万年前に生まれた恒星。夜空で最も明るい星の一つであり、南天星座である「南の魚座」(Piscis Austrinus)で最も明るい星だ。南半球のほか、北半球の赤道地帯からも見える。

占星術で「Royal Stars」(王家の星々)と呼ばれる4つの星のうちの一つで、「Watcher of the South」(南半球の番人)としても知られている。残る3つの「王家の星」は、おうし座のアルデバラン、しし座のレグルス、さそり座のアンタレスだ。

8日に科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された最新画像には、フォーマルハウトを囲む2つのベルトが写っている。これらのベルトは、太陽系のアステロイド・ベルト(小惑星帯)およびカイパー・ベルトに似ている可能性がある。


研究チームはさらに、非常に高い感度を持つJWSTを利用した観測で、複雑かつ活動中の可能性がある惑星系の証拠も発見した。

フォーマルハウトは周囲に小さな岩石からなる円盤があることが以前から知られており、天体同士が衝突した結果形成されたものと考えられていた。こうした円盤は、惑星が形成される場所となると考えられている。

2008年には、ハッブル宇宙望遠鏡がフォーマルハウトを撮影した画像から、惑星「フォーマルハウトb」が発見された。こうした方法で太陽系外惑星が見つかったのは初めてのことだった。フォーマルハウトbの大きさは、木星のおよそ3倍だ。


ハッブルが撮影したこの可視光画像には、新たに発見された太陽系外惑星、フォーマルハウトbが中心星を周回しているところが写っている(NASA, ESA, P. Kalas, J. Graham, E. Chiang, and E. Kite (University of California, Berkeley), M. Clampin (NASA Goddard Space Flight Center, Greenbelt, Md.), M. Fitzgerald (Lawrence Livermore National Laboratory, Livermore, Calif.), and K. Stapelfeldt and J. Krist (NASA Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.))

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光画像には、ちりとデブリからなる赤い輪がフォーマルハウトbを取り囲み、周回しているところが写っている。フォーマルハウトbの中心星からの距離は、冥王星と太陽との間の距離の3倍あり、ハッブルが撮影した赤い輪は太陽系のカイパーベルトに相当するものとなる。

カイパーベルトは、太陽を周回する氷状の小天体からなる輪だ。NASAによると、海王星の軌道の外に広がっており、太陽からの距離は地球のおよそ30~55倍。

研究チームは今回の観測で、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線機器を使用して、以前から知られていたこの赤い輪に加え、太陽系の小惑星帯に似た幅の狭い中間位置のベルトを新たに発見した。研究チームは、このベルトが、画像には写っていない惑星群の重力によって保護されている可能性を考えている。

2つのベルトの間に惑星が存在するかどうかは、まだわかっていない。

研究チームはさらに、一連の画像の中から、外側の輪の中にある大きなちりの雲も見つけた。チームはこれを「Great Dust Cloud」と名付け、衝突によって作られた可能性があるとみている。

いずれにせよ、研究チームは、フォーマルハウトが非常に活発な惑星系に囲まれている可能性があると考えている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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