電子帳簿保存法「対応済み」企業は25%、対応に重い腰

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社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上などを目指し、2021年度の税制改正において「電子帳簿保存法」の改正が行われ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続きなどにおいて抜本的に見直されました。そのうえで2022年1月1日から施行される予定でしたが、2年間の猶予期間が設けられています。

見直しによってかなり要件が緩和されたため、企業側も対応しやすくなったはずなのですが、それでもなお対応済みの企業は1/4程度に留まっているようです。

クラウド型経費精算システム「楽楽精算」などを提供するラクスは、全国の経理担当者937人を対象に電子取引データの保存に関する調査を実施しています。それによりますと2023年3月の時点で、電子帳簿保存法に則して運用していると回答した企業は24.3%で、これは2022年12月に同様の調査をしたときから、わずか2.4%しか増加していませんでした。

電子帳簿保存法への対応は済んでいない企業に対し、仮に電子帳簿保存法に即して運用した場合、業務効率化につながると思うか問うたところ、「効率化されると思う」「少し効率化されると思う」合わせて40.2%と、比較的肯定的に捉えています。一方、すでに電子帳簿保存法に則して運用している企業は、「効率化されると思う」「少し効率化されると思う」合わせて56.6%と、過半数を超えており、かなり実感しているようです。

電子帳簿保存法に則った対応をすることで、これまで紙に印刷したものを原本として保管していたものが、その必要がなくなり、紙帳簿の7年間保管も不要になります。今どきのクラウド型経費精算システムを導入していれば、電子帳簿保存法に対応しており、あとは電子帳簿保存法に則った運用をどう確立するかになります。それを確立させることが難しいことかもしれませんが、2023年12月31日には猶予期間も終了してしまうので、やむを得ない事情がある場合を除いて対応する必要があります。ギリギリまで粘らず、速やかな対応が経理担当の負担軽減につながることでしょう。

出典:ラクス「電子取引データの保存に関する調査」より

文=飯島範久

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