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2023.05.22

「安心最優先」のAIは、顧客体験に何をもたらすか。アドビが見据えるAIの未来

デジタル体験を変革してきたアドビが新製品や新機能を発表する「Adobe Summit」。3月にアメリカ・ラスベガスで開かれたその最新情報を日本で紹介するイベントが、4月20日に東京で開かれた。注目はジェネレーティブ(生成型)AIの実装だ。高まるコンテンツ需要のなか、いかに一貫した顧客体験を届けるか。アドビのポリシーが見えてきた。



会場は東京・赤坂にあるビルボードライブ東京。ドラムとピアノのセッションで始まり、マーケターや事業責任者など参加した100名を超えるアドビユーザーの期待を高める演出で、「Adobe User Group Day - Insights from Adobe Summit」はスタートした。

アドビユーザーの新しいコミュニティが発足

開会の挨拶に立ったアドビ専務執行役員でデジタルエクスペリエンス事業本部長の松山敏夫から早速発表されたのは、タイトルに示された「アドビユーザーグループ」の発足だ。

アドビでは「Adobe Marketo Engage」や「Adobe Experience Manager」「Adobe Analytics」などの製品ごとにコミュニティがあり、ユーザーが知見を共有して専門性を高めてきた。アドビユーザーグループは、その製品の枠や業種、業界を超えた総会的なコミュニティとし、顧客体験向上を目的とした情報交換をワークショップなどの活動で進めていくことを表明。ユーザーとのエンゲージメントをさらに高める方針が打ち出された。

この日のイベントは4つのセッションに分けて進行した。「Thought Leadership Update」と題した最初のセッションは、Forbes JAPAN 執行役員Web編集長の谷本有香をモデレーターに、アドビ執行役員でDXインターナショナルマーケティング本部長の祖谷考克が参加したAdobe Summitのキーメッセージやトピックを報告した。

Adobe Summitは世界最大級のデジタル・エクスペリエンス・カンファレンスと銘打ち、アドビが発表する最新技術で顧客体験の最前線を伝えるイベント。コロナ禍を経て4年振りにリアルイベントが復活した今回、3月21日からの3日間に世界のユーザー約1万人が参加、250を超えるセッションに約500人が登壇した。基調講演には、アメリカ製薬大手のイーライリリー・アンド・カンパニーやT-モバイルなど世界的企業の経営陣が相次いで登壇。賛否両論あるAIへの考え方や、この変化にリーダーはどう対応し、企業文化を変えていくのかといったメッセージが披露されたという。

いま企業に求められるのは「体験が主導する成長」

今回アドビが基調講演で打ち出したテーマは「Experience-Led Growth(体験が主導する成長)」。その意味を問う谷本に祖谷は、言葉の背後にある時代の変化から説明した。

アドビの最近の調査結果によると、世界の消費者の84%がデジタルエコノミー(デジタル技術をベースとした社会経済)が生活に何らかの影響を与えていると認識。その傾向は若者に顕著で、顧客体験やパーソナライズされた体験に大きな期待感をもっていた。そうしたなか企業に求められているのが、ビジネス的な指標と顧客のデータを紐づけて、顧客体験が収益に結びつく仕組みをつくること。「そこに真剣に取り組んでいかないとお客様から選んでいただけなくなるリスクにさらされている」と祖谷は語る。

しかし、それを進めるには投資も必要になる。Summit会場では「経営からROI(投資収益率)をより一層厳しく求められるようになった」というマーケターの声も聞かれたという。

「より少ないリソースで結果が求められる時代になったということですね」と問う谷本に、「コストに常に目を配って収益の拡大を図ることが求められているのだと思います」と祖谷は返した。コストを抑えながら顧客体験価値を上げるために企業が取るべき行動は、「社内各部門の連携・統合による一貫した顧客体験を提供すること」と説明した。

AIなどの技術革新で大規模なパーソナライゼーションが可能になってきたが、一方で、そのために必要なコンテンツが膨れ上がっている。アドビの調査では、コンテンツの需要は今後2年間で現状の5倍に伸びると予想。画像、映像、3Dなどコンテンツの種類が増え、配信チャネルやデバイスが広がるなか、コストを抑えつつ、どう個人に合わせたコンテンツを届け、スケールさせるのか。そうした課題を包括的に解決する新製品や新機能がAdobe Summitで紹介されたという。

そのAdobe Summitで注目を集めたジェネレーティブAI「Adobe Sensei GenAI」の新サービスについて谷本が質問すると、祖谷はアドビのAIに対する基本的な考え方にまず言及した。

「AIは人間の仕事を奪うものではなく、人間の創造性や生産性を手助けする役割として私たちの暮らしや体験を豊かにするもの」であるとし、「AIは間違った情報も学習している」という認識が企業に根強いなか、「AIを一括りにせず、どういうデータセットで学習されたものか、何を目的につくられたものかを見極めてほしい」と話して次のセッションにバトンを渡した。

注目を集めた「Adobe Firefly」を紹介するチーフ・デジタル・オフィサーの西山正一

チーフ・デジタル・オフィサーの西山正一が紹介した「Adobe Firefly」の特徴


アドビが目指す世界観を体現した「Adobe Firefly」

「Technology Update」と題したセッションでは、顧客体験管理プラットフォームであるAdobe Experience Cloudの最新機能を紹介。その冒頭でAdobe Sensei GenAIとしての新製品「Adobe Firefly」のベータ版が公開された。描きたいもののプロンプト(説明文)を打ち込むと数秒で画像が出来上がるクリエイター向けのサービスだ。「Adobe Fireflyはアドビが目指しているジェネレーティブAIの世界観を表したもの」とチーフ・デジタル・オフィサーの西山正一は説明した。

その世界観とは、「安心して商用利用できる画像生成AI」であり、Copilot(副操縦士)として、機長であるクリエイターの味方になるもの、この点にあるとした。オープンソースモデルの画像生成AIとは違い、アドビが権利を保有するAdobe Stockで収録した数億枚の画像や動画、イラストなどを中心にAIが学習。他者の権利侵害を避けたい企業が安心して利用できる設計にした。

さらに、「クリエイターの味方」という点は画像を使って説明。プロンプトを打ち込むと、夏の動画素材が冬景色に一瞬で変わったり、金属を皮素材に変えたり。クリエイターのセンスを生かしながら作業プロセスを大幅に短縮できることを示して見せた。PhotoshopやIllustratorなどで使えることを目指しており、「皆さんもベータ版を使ってみて情報交換をしながら、一緒にAIを育てていただければ」と呼びかけた。

左から、パネルディスカッションの司会を務めたアドビデジタルエクスペリエンス事業本部シニアマネージャーのマニッシュ・プラブネ、カシオ計算機の村岡美和氏、日商エレクトロニクスの近藤智基氏、マクニカの堀野史郎氏

続くパネルディスカッションでは、Adobe Summitに参加したコミュニティリーダー3人が登壇。初参加の感想を聞かれたカシオ計算機デジタル統括部D2C戦略部の村岡美和は、「何かを学んで帰ろうという気合が会場全体に感じられる有意義なイベントでした」と熱気を振り返った。

司会から「自社のAIへの取り組み状況と課題」について質問が向けられると、マクニカのマーケティング統括部長である堀野史郎は、数年前から社内データの整理を始め、今年から営業活動やマーケティングのキャンペーンで活用を試みる段階だと説明。「お客様の体験を、どう会社全体としてつくり出すのかが重要だと感じます」と話した。

日商エレクトロニクスでエンタープライズ事業本部ビジネス推進部長を務める近藤智基は、課題は「マーケター自身の進化」だとした。生成型AIの活用で生産性向上は図れても、「マーケターが何をやりたいのか、そこが明確でないと、データからインサイトを発見できないし、AIの回答が正しいのかどうかも判断できない。AIへの理解度を深めることがこれからのマーケターには必要」と語った。

最後のセッションは恒例の「Sneaks」特別版。アドビが開発中の機能を「チラ見せ」し、未来の製品イメージを参加者に共有する場だ。ここでも関心を集めたのはAdobe Sensei GenAIの未来像。旅行代理店を舞台設定に、「一人旅」のキャンペーン企画をマーケターがAIを使って作成する、その仮想プロセスをデモ画面で展開した。司会者が「実装への期待度」を会場に求めると、歓迎する大きな拍手が送られた。



生産性向上とワクワクするような顧客体験の実現--。本イベントの模様は下記URLから視聴できる。
https://business.adobe.com/jp/events/best-of-adobe-summit/2023/top.html

Promoted by アドビ / photograph by Kenta Yoshizawa / text & edit by Taisei Saito

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