しかし、近年ゴミを埋め立てる最終処分場の残りの容量が少なくなってきており、近い将来ゴミが行き場を失うことが懸念されている。
今回は、最終処分場の現状と、状況を改善するために私たちにできることを紹介する。
最終処分場の限界はすぐそこ
日本には、全国に1572の最終処分場がある。それらの最終処分場でこれから埋め立てることのできるゴミの量は、東京ドーム79.4杯分。今のペースで使われると、全国平均で23.5年しか埋め立て処分可能な期間がないとされている。
また、自治体の中には自分たちで最終処分場を持っていないため、民間の最終処分場に埋め立て依頼をしている市町村が全国で17.2%存在する。
23.5年より短くなる可能性も
先ほど紹介した埋め立て処分可能な残りの期間「23.5年」は、災害が発生するリスクを考慮に入れていない。地震や水害などの突発的な自然災害に見舞われると、災害廃棄物の処分が必要になる。
それらを考慮すると、最終処分場がゴミを受け入れられる期間はもっと短くなるのではないかと考えられている。
最終処分場の容量を増やす方法
何も手を打たなければ、約20年後には最終処分場がいっぱいになり、ゴミ収集のサービスが機能しなくなってしまう。ゴミ収集のインフラが機能しなくなれば、ゴミが町中に溢れ、不衛生な状態になるだろう。
最終処分場の空き容量を増やすために、最終処分場を新たに作ったり、ゴミの搬入量を減らしたりする方法はあるが、それぞれに課題がある。
最終処分場を新たに作るには...
最終処分場を新たに建設するには十分な広さの土地を確保しなければならないが、日本にそんな土地は多くない。特に都心では、いたるところにビルが立ち並んでおり、最終処分場を建設するスペースが残っていないのだ。
仮に十分な広さの土地が見つかったとしても、周辺住民との合意形成が難しく、反対運動が起こる可能性は高い。
廃棄物の有害成分が排出され、環境への悪影響もあるため、簡単に最終処分場を増設することはできないのである。
ゴミの搬入量を減らすには...
最終処分場へのゴミの搬入量を減らす手段の1つとして、ゴミを燃やした後の灰を資源化する方法がある。灰を工場に運搬し、粘土の代替原料としてセメントにしたり、民間の資源化施設で人工の砂を作ったりできる。
しかし、焼却灰の資源化には埋め立てよりもコストがかかってしまうというデメリットがある。