健康

2023.05.19 10:00

長寿地域「ブルーゾーン」に学ぶ、食とウェルビーイングの関係

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現代人の食生活は豊かになった反面、乱れた食生活はさまざまな病気疾患の原因にもなっています。それらをケアするためのテクノロジーの開発や食と健康に関わる研究は日々進化し、市場には数多くの機能性食品やサプリメントが溢れています。
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一方で、世界には好きなもの、食べたいものを、毎日普通に食べていても、若々しくいつまでも元気で健康に長生きし、まさにウェルビーイングな人生を謳歌している人々が数多く居住する特別な地域がいくつかあります。

沖縄(日本)、イカリア島(ギリシャ)、ロマリンダ(米カリフォルニア州)などの“ブルーゾーン”と呼ばれるそれらの地域には、90歳はもちろん、100歳を超える人々が多く暮らしています。

スローライフを実践しながら生きがいや社会とのつながりを持ち、豊かな食生活を送ってきた沖縄をはじめ、実は、日本食は世界的に見ても非常に健康的だと言われています。中でも1975年ごろの日本の食事は、内臓脂肪の蓄積や、加齢に伴う脂質代謝調節機能低下を抑制し、老化遅延へのメリットが高かったとのことです。
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この食事の傾向が現代でも継続されている沖縄の大宜味村では、人口約3500人の3分の1を65歳以上の高齢者が占め、うち100歳以上が11人となっています。また京都府の京丹後地域は、100歳以上の割合が全国平均の3倍で、単に寿命が長いというだけでなく、「健康長寿」を実現している人が多いという特徴があります。この地域の住民の腸内細菌に注目した研究によると、多様な食物繊維の摂取により大腸のビフィズス菌が多いのがその理由のひとつだということがわかってきています。

健康長寿エリアの食事には共通したファクトがあります。それは、過剰も不足もない(偏りがない)栄養バランスが実現されていることです。地中海食を日常的に食べているスペインが、2040年までに長寿国世界一になる見通しだと英医学誌「ランセット」が発表したことで、改めてその健康効果が注目されています。

長寿地域の食事に共通する要素は以下です。

・「揚げる」「炒める」が控えめで全体的に動物性が少ない
・だしや発酵系調味料(ハーブやオイル)を活用し、食塩や砂糖の使用量も控えめ
・畜産以外のたんぱく質も多い
・大豆製品が多い(植物性たんぱく)
・食物繊維が豊富な大麦/玄米が多い
・さまざまな食材を少しずつ食べ、結果として野菜/果実類の摂取も多い
・植物性食品(精製されていない穀物を含む)を中心として、ビタミン、ミネラルなどの栄養素やたんぱく質を多品種の食材から自然に摂っている
・卵、乳、肉は適度に摂取、牛や豚、鶏などの赤身肉類は控えめ ※沖縄食のみ豚肉の摂取量は多い

これらの地域に共通するのはPFC(Protein:たんぱく質、Fat:脂質、Carbohydrate:炭水化物)の量だけではなく、その質も含めたバランスに加えて、ビタミン、ミネラルなど多様な栄養素も含めて偏りがないことです。
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文=藤田康人

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