現在、脚本家の最低賃金は日本円で1週間あたり約60万円ということで、それだけ見ると高額に見えるが、当然、仕事にありつけなければその額はもらえない。総収入をインフレ率で補正すると、この収入は10年前と比べて25%も減額になったことになるらしい。こういうことからもストライキ決行となったシリアスな背景は感じられる。
しかし、スタジオ側が脚本家側の要求にもあるAIに規制をかけられるかどうかは微妙な問題である。
今日、視聴者たるわれわれがストリーミングサービスから離れられないのは、まさにAIが観る側の好みを分析して、個々人の映画体験を視聴履歴と好みに基づいてパーソナライズしてくれているからと言い切っても差し支えない。
そこを制限すると、ストリーミングサービスのドラマや映画以上にパーソナライズされたYouTubeやTikTokなどの動画配信との競争に敗れていくことになる。
全盛期を迎えているストリーミングサービスの、脚本家たちのストライキに端を発した深刻なジレンマは、これからも長いこと続いていきそうだ。