宇宙

2023.05.11

珍しい木星食は来週、日本では月と木星が超接近

NASAの探査機ジュノーが撮影した木星(NASA / JPL / SWRI / MSSS / THOMAS THOMOPOULOS © CC BY)

あなたは木星食を見たことがあるだろうか? 木星食とは太陽系の巨大惑星がわずかな間、月に隠されてしまう稀な機会であり、それは米国、カナダ、メキシコおよび欧州の極北部にいる人たちにすばらしい景色を約束している。

たとえあなたがいる場所が、食(月などが惑星を隠すことを「掩蔽」とも呼ぶ)の経路に入っていなくても、三日月と木星の超接近を見ることができる。それ自体も目を奪われる光景だ(訳注:日本では17日22時09分に月が木星に最接近)。

木星が月に隠される皆既木星食を見るために必要なことを以下に述べる。

木星はいつ食になるのか?

2023年5月17日水曜日(米国時間)の日の出前、木星は三日月に隠される。In-The-Sky.orgによる。ウェブサイトで住んでいる場所を選ぶと、木星が消えてまた出現する正確なタイミングを教えてくれる。

木星食を見ることができるのは誰?

木星が月に隠され、再び現れるイベント全体を見るためには、米国、グリーンランド、スカンジナビア北部、英国北部などに居る必要がある。

北米の東半分では、日の出の直前に食が起きる。一部地域では、数分後、日が昇る前に木星が再登場するところを見ることができる。正確なタイミングとどこを見るべきかを知るにはStellariumが役に立つ。

木星は今どこにいる?

気づいているかもしれないが、ここ数カ月間、日没後の空で木星を見ることはできていない。では、今どこにいるのか? 夜空から太陽の光の中へと消えていった木星は、最近になって日の出前の空に見えている。日の出前に東を見ると、地平線近くに木星が見つかる。太陽から約25度の位置だ。

そこはまさに、欠けていく三日月が新月になる前に現れる場所だ。新月は三日月による木星食の数日後の5月19日だ。

月が木星を隠すとは?

満月ではなく明るく照らされていない月が木星を隠すこのイベントには、多少の説明が必要だ。観測者が見るのは、6%輝いている三日月の縁が木星を横断して隠すところだ。

それは肉眼でも双眼鏡でも、小型望遠鏡で見てもすばらしい光景だ。少し後に、三日月の輝いていない側の縁から木星が再び現れるところを見ることも理論的には可能だが、太陽が日の出に近いか地平線の上にあるので、見るのはずっと難しいだろう。

惑星食が起きる仕組み

太陽系のすべての惑星は、地球を含め、同じ平面で太陽を周回している。目玉焼きの黄身が太陽だとすると、周りの白身の部分を惑星が周回している(もちろん太陽からの距離は惑星ごとに異なる)。

その平面は、太陽が空を通る経路によって表されている。その同じ経路で惑星を見つけることができる。その経路を黄道(ecliptic)と呼ぶ。月はわずかに異なる軌道を周回しているが、ごくわずかだ。実際、月が地球を回る軌道は、黄道に対して5%しか傾いていない。

すべての惑星がほぼ同じ平面を周回していることから、惑星と月の位置にはある程度重なりがあり、それは後者が前者を隠すことができるという意味だ。ただし頻繁に起きることではなく、起きたときでも世界中のごくわずかな地域からしか見ることができない。今回の木星食もそうだ。

次に木星が月に隠されるのは2026年9月8日で、その時も北米の人々は見ることができる。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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