AI

2023.05.10 13:00

SpotifyがAIが生成した「数万曲」を削除した理由

Yalcin Sonat / Shutterstock.com

Yalcin Sonat / Shutterstock.com

ボットを使用してストリーミング回数を増やした疑いがあるとしてUniversal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)がAI生成による音楽サービスのBoomy(ブーミー)に対して懸念を示したことを受け、Spotify(スポティファイ)はブーミーを使って作成された曲の7%、数にして「数万」曲をウェブサイトから削除した。英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。

ブーミーの曲が削除されたのは、人を装ったボットを使って曲のストリーミング回数や視聴者数を増やす「偽りのストリーミング」を行った疑いがあるため。

ブーミーは、AI生成による曲やアルバムをユーザーがApple Music(アップルミュージック)やスポティファイといったストリーミングサービスでリリースするのをサポートし、その対価として支払われるロイヤリティから手数料を取っている。

フィナンシャル・タイムズの報道によると、ブーミーはスポティファイへの曲の提出を再開し、両社は削除された曲を復活させるための交渉を行っているという。

ブーミーは同社のユーザーが「世界の録音された音楽」の約13.83%に相当する1400万曲以上を作曲したと主張している。

AI生成の音楽は最近物議を醸している。というのも、人々がソフトウェアで著名な音楽アーティストの声を使った曲を作り始めたからだ。例えば、Tiktok(ティックトック)のクリエイターがAIを使ってザ・ウィークエンドとドレイクによる『Heart on my Sleeve』という「オリジナル曲」を作り、スポティファイ、Apple Music、Youtube(ユーチューブ)、TikTokなどのプラットフォームが削除するまでに数百万にのぼるストリーム回数を記録した。

ドレイク、アリアナ・グランデ、ハリー・スタイルズといったアーティストの代理人を務める、世界で最も力を持つ音楽会社の1つであるユニバーサルミュージックグループは、ストリーミングサービス各社に対して、AIソフトウェアが生成AIの訓練に各社のプラットフォームを使用することを阻止するよう求める書簡を送った。
次ページ > 一部の有名人はAI音楽の流行を受け入れている

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事