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2023.05.10 13:30

車を通じた個人情報収集、メーカーの実態を暴く画期的ツール登場

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現在の自動車は、タイヤのついたコンピュータも同然だ。ここ数年の新車生産の遅れは半導体シリコンチップ不足が主な原因であり、ハイテクがいかに深く自動車に組み込まれているかを証明している。この先も、消費者の移動体験の中でデジタル技術がより重要な役割を担うことは間違いない。しかし、インターネットに常時接続している状態は、監視される可能性が高まることを意味する。

車両データ関連のプライバシー問題に専門的に取り組むプライバシー技術企業の米Privacy4Cars(プライバシー・フォー・カーズ)は5月2日、消費者を支援する画期的な新ツール「Vehicle Privacy Report(車両プライバシー・レポート)」を立ち上げた。走行距離や事故歴といった車両の来歴照会サービスであるCarFax(カーファックス)とは異なり、提供するのは当該車両のデータ収集・共有履歴だ。車両識別番号(VIN)を入力するだけで、メーカーが収集・共有・販売した個人情報を含む重要なプライバシー情報にすばやくアクセスできる。

消費者は透明性を与えられるべきだ

Privacy4Carsの創業者で最高経営責任者(CEO)のアンドレア・アミコは、消費者が車を購入する際、知らないうちに個人情報の収集・共有・販売に同意していることが多い点を指摘する。車両からデータを抽出するデジタル鑑識は、犯罪捜査に活用されているほか、ストーカーやドメスティック・バイオレンス(DV)加害者に悪用される恐れがあり、適切な保護措置が講じられなければ消費者にとって大きな脅威となる。車の購入時に交わす法律文書が複雑なため、所有者、借り手、同乗者が何に同意済みかを理解するのは困難なことが多い。こうした透明性に関する甚大な課題に対処し、消費者がプライバシーを購入の判断材料にしやすくするのが、Vehicle Privacy Reportの狙いだ。

Privacy4Carsの調査では、平均的な自動車メーカーのプライバシーポリシーや規約を理解するために必要な資料を一般消費者がすべて読むのには、平均2時間半を要することが判明した。これは、携帯電話のアプリに関するソフトウエア使用許諾契約の大半と比較して、相当に長い。
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編集=荻原藤緒

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