チャールズ国王の聖エドワード王冠は、母である故エリザベス女王が1953年の自身の戴冠式でかぶったもの。360年以上前に作られ、高さは約30センチ、重さは約2キロある。王冠には22カラットの純金のほか、ローズカットのアクアマリン345個、ホワイトトパーズ37個、トルマリン27個、ルビー12個、アメジスト7個、サファイア6個、ジャーゴン2個、ガーネット1個、スピネル1個、ざくろ石1個を含む計444個の宝石や半貴石があしらわれている。
一方、カミラ王妃はチャールズ国王の曽祖母に当たるメアリー王妃が着用した冠をかぶった。この冠は金で裏打ちされた銀の枠に2200個ものダイヤモンドが施されている。この冠には悪名高い「コイヌール」ダイヤモンドが使われていたが、今回の戴冠式ではこれが外された。コ・イ・ヌ―ルダイヤモンドはインドで採取された105.6カラットの石で、英国の植民地時代の歴史の象徴とされ、長い論争が続いている。その代わりに、故エリザベス女王が所有していた94.4カラットの「カリナンIII」、63.6カラットの「カリナンIV」、18.8カラットの「カリナンV」ダイヤモンドが冠に装着された。だが、これらの宝石も1905年に巨大なカリナンダイヤモンドが採取された南アフリカに戻すべきだという批判にさらされている。
カリナンダイヤモンドからカットされた他の石も、戴冠式で披露された。チャールズ国王は、530.2カラットの「カリナンI」ダイヤモンド(「アフリカの大スター」と呼ばれる)をあしらった黄金の笏を授けられ、ウェストミンスター寺院を去る際には317.4カラットの「カリナンII」ダイヤモンドが施された「大英帝国王冠」を着用した。