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2023.05.15 08:30

土から地域の魅力を発掘 地域ビジネスプロデューサーの視点

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中道:そこで8年を過ごして、独立されたわけですね。
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南雲:温泉旅館15軒のブランディングをした時に、それぞれどういう特色をつけるか考えていたら、地域差が魅力になると気づいて、地域って面白いなと思ったんです。

中道:地域の何が一番面白かったんですか。

南雲:退職後、星野リゾートから外部委託で箱根温泉旅館の仕事を受けた時に、地域の魅力を発掘しようといろいろ調べていたら、なんとなく、なぜ箱根に寄木細工があるんだろうと思ったんです。調べると、箱根にはいろいろな樹木が育っていて、それは箱根の標高差や海や富士山などの環境がつくりだしている。その時に、その土地の気候から、その土地の産業がわかるんだなと。
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そこから土の魅力にハマって、土を見るとほぼいろいろなものが説明可能になるんですよ。例えば農業が盛んな地域の人は、共同で作業したり管理したりするのでコミュニケーション能力が高い傾向にある。一方で、鉱物が採れるところは工業系の企業が進出するのでサラリーマンが多くなる、とか。

中道:そういう視点で考えたことがなかったけれど、なるほどなという感じがします。そういうことが南雲さんの仕事のコンセプトになっている感じですか?

南雲:そうですね。私の強みは、共感が得られるストーリーづくりではないかと思います。地域の人たちは自分の地域の魅力に気がついていないけれど、よその人にはそれがわかりやすい。しかも私は土地から見た魅力の話をするので、その地域でしかできない魅力の話になります。

地方に行くとたいてい「いやあ、すみませんね。うちは何もなくて」とおっしゃるんです。でも、民俗博物館に行ったり、山の上から地形や道を見渡したりして、この地域にはこういうものがありますよと話すと、もうなんか涙目になって、「そうなんだ」とすごく喜ばれるんです。私が気づきを与えることでこんなに喜んでもらえるのなら、この仕事には続ける価値があると思ってやっています。

中道:今の日本の一番の問題は自信を失っていることだと思うんです。とくに海外から見た時に、日本にはいいところがたくさんあるのにそれに気づいていない。日本人が気づいていない間に、海外から入ってきた人が日本のいいものを見つけて勝手に持ち出してしまう。文化がどんどん盗られて、そのうちなくなってしまうんじゃないかと思うんですよね。

それをいいサイクルにもっていけないか。そのあたりを次の回で広げていけたらと思います。

文=久野照美 編集=鈴木奈央

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