だが、由緒正しい瞑想が誰にとっても有用とは限らない。たとえば、鬱や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安症、精神症といった慢性症状のある人が瞑想を試みると、症状が悪化する場合がある。
瞑想に専念するのが苦手な人や、単純に瞑想を楽しめない人にとっては、パズルなどの代替リラクゼーションツールがより負担の少ない選択肢になり得る。
なぜジグソーパズルなのか
ジグソーパズルを完成させるのはとても楽しいが、それだけではない。さまざまなウェルビーイング向上効果があるのだ。1. ストレス解消に役立つ
パズルを解くのは、今この瞬間に注意を向けるというマインドフルネスのすばらしいエクササイズになる。目の前の作業にすっかり没頭することで、脳は瞑想時と同様のフロー状態に入る。「心拍数が下がり、侵入思考(本人の意思に関係なく思い浮かぶ不安や不快な考え)のループが止まり、穏やかな感覚が促される」と、米メンタルヘルスケア団体Real(リアル)のセラピストでマスターソーシャルワーカーのマデリン・ルーカスは説明している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの真っ只中にジグソーパズル人気が大復活を遂げ、売り上げが370%も増加したのは、だからかもしれない。子どもも大人も、簡単かつ安価に息抜きができる方法だ。
2. 不安の解消に役立つ可能性がある
神経科学の専門家で脳フィットネスアプリBrainTap(ブレインタップ)を創業したパトリック・ポーター博士によると「ジグソーパズルを1日30分、8週間続けてやるだけで、成人における全般性不安障害の不安レベルが大幅に低下する」という。ジグソーパズル専門店JIGGY Puzzles(ジギー・パズルズ)の創業者ケイリン・マーコットも「混沌とした現代社会では、誰もが常に過剰な刺激にさらされた状態にある。ジグソーパズルは解毒剤になる」と語る。「スマートフォンを置いて画面から離れ、気づきと今を感じられるほど没頭でき、難しすぎず無理する必要もない触覚的活動をすると、集中力と落ち着きの完璧なバランスが保てる」