女王陛下の遺言は、少なくとも90年間は封印されることになっている。そのためその財産がどのように分配されたのか、明らかになるのは数世代後のことだ。ただ、73歳の長男チャールズ国王が、女王が愛したスコットランドのバルモラル城、イングランド東部サンドリンガムの私有地(競走馬の生産牧場、ロイヤルスタッドがある)などを譲り受けたことは、すでに明らかになっている。
そのほか国王は、宝飾品などを含む女王のプライベートコレクションや個人的な投資など、合わせて約5億ドル(約670億円)相当を相続したと推定される──そして、1993年の王室と政府との取り決めにより、国王は1シリングの相続税も納める必要がない。
一方、これまで皇太子の領地であるコーンウォール公領から多額(年間およそ2700万ドル)を受け取ってきたチャールズ国王は、面積約520平方キロメートル(グレーターロンドンの約3分の1)、その価値およそ4億3300万ドルとされる商業施設があるこの公領の保有資産を、約13億ドルに増やしたとされている。
国王はそのほか、環境保護や有機農業の普及を目指すいくつかのベンチャー事業を立ち上げている。すでにウィリアム皇太子が引き継いだ慈善団体を通じて、国王は国内最大規模のオーガニック食品ブランドを創設したほか、ルーマニアのトランシルバニアに保養施設と工芸センターを設立。宿泊施設としても運営してきた。
さまざまなかたちで財産を受け継ぎ、自らも事業を手がけるチャールズ国王の保有する財産は、どれほどの金額になるのだろうか──?
保有資産と王室助成金
チャールズ国王は新たな君主として、世界一有名な宮殿であるバッキンガム宮殿のほかウィンザー城、ロンドン塔など、推定460億ドルの資産を管理する団体の所有権を受け継いだ。これらの不動産は国王が直接保有するのではなく、在位している君主を所有者として、その継承者と国民のために「信託されて」いる(つまり、これらは売却できない)。