音楽

2023.05.08 13:00

英HMVのロンドン旗艦店が復活へ 店舗改革で経営再建

有名な「蓄音機を聞く犬」の看板が残されたまま、空き店舗になっていた英HMVのロンドン・オックスフォードストリート旗艦店跡(2021年3月19日撮影、Vuk Valcic/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

英HMVのロンドン・オックスフォードストリートの旗艦店が今年、4年ぶりに復活する。HMVは経営破綻後の2019年にこの店舗を閉鎖していたが、その後カナダ企業のもと、CD・DVD以外の商品の品揃えや店内イベントの拡充に活路を見いだして経営を再建。アナログレコードなどの人気再燃も追い風に、ロンドンのアイコンの1つでもあった由緒ある店舗をリニューアルオープンさせる。

再オープンの時期はクリスマスシーズンに合わせ、今年の年末ごろになる見通しとなっている。

音楽販売店として100年を超える歴史をもつHMVは2018年末に事実上の経営破綻に追い込まれ、翌年2月、カナダのサンライズ・レコーズによって救済買収された。オックスフォードストリートの旗艦店は、それにともなって閉鎖された27店舗の1つだった。

HMVはオックスフォードストリート店の復活を決めた理由を、2022年に黒字化という「劇的な転換」を達成したためと説明している。リニューアルする店舗は以前とは異なるブランディングをし、レイアウトも刷新する予定だという。

残念ながら、店のシンボルだった、蓄音機を聴く犬「ニッパー」の看板を掲示することは計画していないという(編集部注:HMVという名称はこのロゴの元になった絵画「His Master's Voice」に由来する。このマークは日本では現在、JVCケンウッドなどが使用している)。

オックスフォードストリート363番地に立地するこの店は、2019年にHMVが撤退して以降、長期にわたって空き店舗になっていた。目抜き通りにある店舗跡が空いたままの状態は、ロンドン随一の有名なショッピング街の衰退を象徴するものとも受け止められていた。

最近は、オックスフォードストリートに数多くある「アメリカンキャンディー」店の1つが入居し、問題になった。アメリカンキャンディー店は違法営業の疑いがあるとして地元ウェストミンスター区議会が取り締まりを実施したが、なお増殖している。

ロンドンの音楽シーンを盛り上げてきた歴史

HMVのオックスフォードストリート店は1921年に英国の作曲家サー・エドワード・エルガーによって開かれ、その後世界的に有名な音楽販売店になった。1995年にブラーが屋上ライブを行ったり、翌年スパイス・ガールズがクリスマスのライトアップの点灯をしたりと、英国の多くの音楽グループにとってもゆかりのある場所だった。

2000年には、ビートルズがスターダムを駆け上がるきっかけになった場所として、プロデューサーを務めたサー・ジョージ・マーティンによって青い銘板も設置されている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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