音楽

2023.05.08

英HMVのロンドン旗艦店が復活へ 店舗改革で経営再建

有名な「蓄音機を聞く犬」の看板が残されたまま、空き店舗になっていた英HMVのロンドン・オックスフォードストリート旗艦店跡(2021年3月19日撮影、Vuk Valcic/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

CDやDVDの販売が落ち込むなか、HMVはグッズや音楽テクノロジー、さらにミニライブなどインストアイベントの拡大にも力を入れることで再生を図ってきた。新オックスフォードストリート店でも、さまざまなポップカルチャーグッズやレコード、映画・テレビ作品、音楽テクノロジーなどを取りそろえ、音楽スターによるサイン会や新進アーティストによるステージパフォーマンスなども開催していく予定だ。

最近はレトロテクノロジーのリバイバルも起きており、米国や英国でカセットが再びブームになっているほか、倒産した米ビデオレンタル大手ブロックバスターが再始動に向けて水面下で準備しているとのうわさもある。

米バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)や英ウォーターストーンズといった書店チェーンの復活にも、こうした動きと通じるところがある。

「ファン重視」が奏功、英以外でも新規出店へ

サンライズ・レコーズを率いるカナダの音楽起業家ダグ・プットマンは「ファンを中心に考えたポップカルチャー製品の拡充が功を奏している」と説明する。オックスフォードストリート旗艦店の再オープンは「数年にわたる努力の集大成」と位置づけるとともに「HMVのエキサイティングな新時代に向けた出発点」になると期待を示している。

HMVは現在、サブブランドの「Fopp(フォップ)」を含め、英国各地に120店舗を構える。

HMVによると、新たな「HMVショップ」という店舗フォーマットを今年末までに24の新店舗と14の既存店に導入する予定。欧州のほかの国でも年内の新規出店を計画しているという。

ウェストミンスター区議会のジェフ・バラクラフ議員は「(HMVという)アイコニックなブランドがオックスフォードストリートに戻ってきてくれるのはすばらしい。HMVはそこで長年、ロンドンの音楽・ポップカルチャーをけん引していた」とコメント。アメリカンキャンディーショップと入れ替わるのは「とくに喜ばしい」とし「区議会としては、英国を代表する大通りが再び活気を取り戻し、HMVのようなブランドの本拠地になることを望んでいる」と続けている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事