ファバザは、TikTokに適用されるツールと語彙リスト、そしてそれらへのアクセスは、TikTokの信頼・安全性チームによって管理されていると述べている。また、TikTokで使われているリストは「制限され、許可制のもの」であり「米国向けリストにキーワードを追加する際には、事前にTikTokの米国チームの承認済みメンバーに提出し、その審査と承認を受けることがTikTokのポリシーで義務づけられている」とも説明している。
TikTokやネット上の中国批判、発信者は監視対象になるおそれ
TikTokやネット上の中国批判、発信者は監視対象になるおそれTikTokと米国で最も激しく競合する企業も含め、ほとんどの主要ソーシャルメディアプラットフォームには、暴力的、下品、あるいは違法なコンテンツや表現のフィルタリングを目的としたポリシーやツールがある。これらの企業の場合と同様に、TikTokの語彙リストのなかにも、自傷行為や自殺をはじめとする危険なコンテンツからユーザーを守ることを目的としたものもある。TikTokのCEOの周は公聴会で「セキュリティやプライバシー、コンテンツ操作のおそれといったTikTokをめぐってもち出されている懸念は、実際にはわたしたちに限ったことではない」と述べ、TikTokだけを特別問題にすることに疑義を呈した。
「こうした懸念への対処で親会社がどこかというのは中心的なことではない」とも周は主張した。
だが、米国家防諜・安全保障センター(NCSC)のトップを務めたウィリアム・エバニナは、TikTokの親会社が中国企業だという点がまさに問題なのだと指摘する。エバニナはこんなふうに説明する。米国では、たとえば「NSA(国家安全保障局)はGoogle(グーグル)と協力しているわけではないし、CIA(中央情報局)はMicrosoft(マイクロソフト)と協力しているわけではない」米国の法執行当局は、令状や召喚状、裁判所の命令がなければ企業のユーザーデータにアクセスしたり、それを捜索したりできない。連邦機関がプラットフォーム側に追跡すべき言葉のリストを与えることもできない。ところが企業界と政府の線引きがあいまいな中国では、当局は法的な手続きを踏まずにこうしたことができる。「これが彼らのビジネスの流儀なのだ」
「バイトダンスは中国の政府や国家安全省に従属している。(米国のソーシャルメディア企業との)この違いが根本的な問題だ」とエバニナはいう。「確かに、Facebook(フェイスブック)やグーグルもそれぞれのプラットフォームのグローバルなアセット(アカウントやコンテンツなど、価値を生むリソースやデータの総体)を保護するために同様のことをしているが、CIAやNSAに対する義務を負っているわけではない。NSAやCIAがガイドブックを与えるわけでもない」