テクノロジー

2023.05.07 11:00

TikTok親会社バイトダンスが広げる情報監視体制、ウイグルからトランプまで

Editorial credit: Boumen Japet / Shutterstock.com

フォーブスはこれまでに、バイトダンスやTikTokの従業員には中国の国営メディア出身者が大勢おり、一部は国営メディアと二重に在籍していることや、中国の国営メディアがすでにTikTokを使って米国政治に関する米国人の意見に影響力を及ぼそうとしていることなどを報じてきた(TikTokは今年から国営メディアのアカウントにラベルを付け始めている)。周は議会証言で、TikTokと中国のつながりをめぐる不安を和らげる目的から前出のシチズン・ラボの報告書に言及したが、報告書では実のところ、TikTokの従業員が政治的な検閲を行っていることを証明あるいは反証するのには証拠が「不十分」と指摘しているにすぎない。

ウイグル人ジェノサイド、TikTokでも世論工作の疑い

フォーブスが閲覧したリスト名のなかには「TikTok」あるいは「抖音」という名称が入っているものもあるが、多くはどちらも明記されていない。抖音のほうは中国政府によって厳格に検閲されている(対象プラットフォームがあいまいなリストのなかには「トランプに向けられた禁止用語」や「NBA著作権用語集」など米国関連のものとみられるものがある)。リスト名でTikTok向けか抖音向けか不明なリストはどのように運用されているのかバイトダンスに繰り返し尋ねたが、回答はなかった。
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バイトダンスのツールのある手引きには「核心的なレッドライン語彙」の一例に「六四語」が挙げられている。「六四」は1989年6月4日起きた天安門事件の隠語を指すとみられる。

文書によると、バイトダンスのツールで使われているほかのリストは、ウクライナとロシア、台湾や香港の独立に関する議論、チベットの言論(「チベット地域におけるTikTokの音声でセンシティブな言葉」)といったデリケートな地政学的問題に関係したものになっている。さらに、バイトダンス製品に批判的な言葉、TikTokの競合相手への言及、中国によるジェノサイド(集団虐殺)の犠牲になっているウイグル人に関するセンシティブもしくは禁止された話題に関するものもある。

「ウイグル人・漢民族カップルの主題化戦略」と題されたリストは、ウイグル人と、中国で圧倒的多数派を占める漢民族の婚姻を主に扱ったものとみられる。先ごろ公表された人権報告書は、ウイグル人の女性と漢民族の男性の強制結婚が増えていることを示し、こうした強制的なパートナー関係は「ジェンダーに基づく犯罪であり、国際的な人権基準に違反し、現在のジェノサイドをさらに進めるものだ」と指弾した。この報告書では、抖音にウイグル人と漢民族の結婚式のコンテンツが投稿されていることを確認している。フォーブスの調査ではTikTokでも「ウイグル・漢」と検索すると、幸せそうにお祝いをする様子の同様の動画が出てくる。ファバザはこのリストについて「TikTokのリストではない。バイトダンスのほかのアプリに向けに存在しているのかについての臆測はできない」としている。
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TikTokでのツールの使い方について説明した社内手引きによれば、特定の語句や文章のリストを「検出ツール」に入力して検索すると「照会したデータにセンシティブな言葉が含まれているかをチェック」できる。引っかかった結果の「一部は禁止され、以後、呼び出されなくなる」という。

別の文書では、このシステムを使って「センシティブな言葉」に対処できる方法がいくつか概説されている。一部の言葉は「絶対に消す」「直接排除する」とされているが、それ以外の言葉では投稿した本人だけ閲覧できるようするなど、ほかの方法で拡散を防ぐこともできると紹介されている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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