最初に浮かんだ実現可能な選択肢を選ぶ「サティスファイシング」の問題点

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サティスファイシングに代わる意思決定方法

サティスファイシングに代わる意思決定の方法はいくつかある。

1.最高の選択肢を探す:たとえ時間や努力がもっと必要だとしても、考えられる限り最高の選択肢を見極めて、それを追求しようとする。

2.消去法:意思決定において絶対に外せないポイントをリストアップする。その後、いくつかの選択肢を挙げ、リストのポイントすべてを満たしていない選択肢を除外する。

3.多属性効用分析:さまざまな基準や条件にそれぞれの重みをつけて、各選択肢のスコアを算出し、最適なものを決定する。

4.コンジョイント分析:いくつかの属性を組み合わせた複数の代替案(仮の製品やサービス)を顧客や消費者などに提示し、好みに応じてランク付けしてもらう方法。その結果をもとに、製品やサービスにとって最も重要度の高い機能や特性を見極めていく。

5.デシジョンツリー(決定木)分析:考えられるすべての選択肢と、それによってもたらされるであろう成果を盛り込んだツリー状の図を作成し、意思決定プロセスを視覚的にとらえる方法。

6.ゲーム理論:意思決定プロセスを戦略ゲームとみなして分析する方法で、関係者全員の行動と決断を検討する。

7.悪魔のトロイカ:複数の選択肢をすみやかに用意し、ストレステスト(見込まれるリスクや厳しいシナリオなどを想定して評価すること)を行い、その結果から最適な解決策を導き出すという、シンプルな方法。

この悪魔のトロイカは、筆者がウォール街の大手銀行と提携していたときに編み出した独自の方法だ。この方法を初めて用いたときには、予算1兆ドル(約135兆円)が絡む戦略が台無しになりかねない弱点と、それを克服する手段が明らかになった。そこに至るまでかかった時間は3時間にも満たない。

私たちはこの方法を、北大西洋条約機構(NATO)にも伝授した。NATOは、台頭していた重大な脅威をすみやかに解決できる手段を、わずか90分間で見つけ出した。その解決策は数週間後に実行に移され、無事に成功している。

こうした意思決定の手段を紹介したのは、より良い決断を下すためには、サティスファイシングよりは少し余分に時間がかかるかもしれないが、それほど多くの時間を費やす必要があるわけではないことを伝えるためだ。

早急に決断を迫られた場合でも、自分自身やチームを奮い立たせれば、15分ほど余分に時間をかけて、別の選択肢を検討し、1つ目よりも優れているかどうかを考えることは必ずできる。さらに良いのは、その2つの強みを合体させ、3つ目の選択肢を考案できないか、考えてみることだろう。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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