すぐそこまで、ボイジャー2に永遠の闇が迫っていた。エンジニアたちが2026年までその寿命を延ばす方法を見つけるまでは。
ボイジャー2号は、ボイジャー1号と同じく原子力を動力としている。これらの探査機で使用されている放射性同位体熱電気転換器(RTG)は、崩壊するプルトニウムの熱を利用可能な電力に変換する。問題は、そのパワーが衰えていくことだ。
打ち上げから46年間、エンジニアたちはヒーターといた宇宙船が飛行を続けるために必須ではないシステムのスイッチを切らなくてはならなかった。
エネルギー節約の選択肢をなくしたエンジニアたちは、宇宙船の電圧が変化した際に機器を保護するよう設計された安全機構のために確保されていたわずかなエネルギーの蓄えを使う方法をひねり出した。
「電圧の変化は機器にリスクをもたらしますが、私たちはこれを『小さなリスク』だとして、代わりに科学機器により長く通電できるという大きな見返りを得ました」とジョンソンジェット推進研究所(JPL)のボイジャープロジェクトのマネージャーであるスザンヌ・ドッドはいう。「この数週の間、ボイジャー2号を監視していますが、新しいアプローチは成功しているようです」
また、ホイジャー1号の運命も崖っぷち状態にある。数十年前に搭載していた科学機器の1つが誤作動で使用不能になった。その結果、使用可能な電力がわずかに増えたが、来年にはボイジャー2号と同じテクニックを使ってその寿命を伸ばすことになる。
ボイジャー2号は、1970年代終盤におけるNASAのグランドツアー計画の花形で、木星、土星、天王星および海王星を撮影した。1990年に内太陽系を離れた後、60億キロメートル離れた位置から見た地球を写した、あの象徴的なペイル・ブルー・ドット画像を撮影した。
太陽系を離脱したボイジャー1号と2号は、太陽風(太陽が作った粒子と磁界)が届く範囲であるヘリオスフィア(太陽圏)も離れ、熱い太陽風が冷たい星間空間と出会うヘリオポーズ(太陽圏界面)に進入した。
およそ4万年のうちに、ボイジャー2号は赤色矮星ロス248から1.7光年の位置を通過する。そしておよそ29万6000年後には、地球の夜空で最も明るい恒星であるシリウスから4.3光年の位置を通過する。
(forbes.com 原文)