カラムルザは野党の政治家であるほか、歴史家、ジャーナリスト、映画監督でもあり、ロシアと英国の国籍を持つ。ロシアで最も尊敬される民主派野党指導者の一人であり、良心の代弁者だ。米国、カナダ、欧州連合(EU)、英国で、マグニツキー法(人権侵害制裁法)に基づきロシアの人権侵害や汚職に関与する者を対象に科された制裁の推進者となってきた。3児の父であるカラムルザは2度の暗殺未遂を乗り越えながら、ウクライナ侵攻に公然と異議を唱えたことで起訴され、17日に懲役25年の刑が言い渡された。
カラムルザは昨年4月11日、外国の報道機関の取材に応じた後、自宅に入ろうとしたところを連邦保安庁(FSB)に取り押さえられた。警察に従わなかったというぬれぎぬを着せられ、逮捕されたのだ。その後、さらに国家反逆罪やロシア軍に関する「意図的な偽情報」の流布などの罪に問われた。国家反逆罪は、国際的な討論会でロシア当局を公に批判したことに結び付けられたものだ。一方の偽情報流布の罪は、昨年3月に米アリゾナ州議会下院で、ロシアのウラジーミル・プーチン政権によるウクライナ侵攻を批判し、「住宅地へのクラスター爆弾の投下、産院や病院、学校への爆撃を全世界が見ている」と演説したことに関連している。
逮捕から1年が経過した10日、カラムルザは法廷で、自身が経験した不条理な訴追や迫害を巡る懸念を表明した。「そのやり方には全く驚かされた。政治裁判では、私たちの国は1970年代どころか、1930年代にまで逆戻りしてしまったと言わざるを得ない。閉鎖性の度合いも、検察官の巧みな話術も(法廷で検察官が発した最後の言葉は「あなた方の目の前には罰せられるべき敵がいる」だった)、そしてもちろん刑期に関してもだ」(訳注:1930年代のソビエト連邦では、スターリン体制下で反対派の大粛清が行われていた)