バンダービルト大学のクリストファー・カーペンター教授(経済学)とマサチューセッツ大学アマースト校のブランディン・チャーチル助教(同)はこの研究で、米疾病対策センター(CDC)が過去に実施した全米規模の健康調査を分析。年ごとに、その年のミス・アメリカやミスUSAの優勝者を出した州の女性の調査回答と、ほかの州の女性の回答を比較した。また、両コンテストの優勝者の出身州について、優勝した年の調査回答と、それ以外の年の回答も比較した。
その結果、ミスコン優勝者の出身州に住む10代の少女や若い成年女性は、選出後の1年間に減量を試みる率がほかの州の同年代よりも高いことがわかった。成年女性の場合は5%近く高かった。少女の場合、カロリー制限行動をする率が6%高く、体格指数(BMI)の基準では当てはまらないのに、自分は「太っている」と認識する傾向も相対的に高かった。優勝者の出身州では、妊婦が適正な体重増加をする率もほかの州に比べ低くなっていた。
こうした行動変化は、10代の少年や成年男性、より年齢が上の女性では認められなかった。研究では、若い女性にみられた行動の変化は、受賞者の地元の州でメディア報道が増えることに起因する可能性が高いと結論づけている。
ミス・アメリカやミスUSAを輩出した州では、選出後、ミスコンがメディアで大きく扱われる率が有意に高まる。優勝者の出身州では、最終選考の放映後の2日間、その結果がトップニュースとして扱われる率が、ほかの州よりも27〜37%高くなる。優勝者の出身州の若い女性がより体重を気にするようになっていた正確な理由は不明だが、映像や写真で見たミスの容姿と自分を比べて、自分の痩せ方が不十分と考えたと推測される。
この研究は査読は受けておらず、発表した全米経済研究所(NBER)のウェブサイトでコメントが求められている。