新規事業

2023.05.12 07:30

郵便局は物流+金融のレア空間 「2万4千軒をクラウド管理」日本郵政の挑戦

日本郵便 宮永 朋彦:DX化は日本郵便でも大きな課題です。日本郵便は1871年に業務を開始しましたが、郵便番号が導入されたのは1968年です。当時は住所情報の一部を数字に置き換えるという、ある種のDX化が行われたわけですが、その後、1990年代には日本にもインターネットが登場し、さらに2010年代からはスマートフォンによって一人一端末の時代がやってきました。

事業者側が持つインターフェイスだけでなく、スマートフォンという端末を持つ顧客(ユーザー)側のインターフェイスについても日本郵便が考え、最良のサービスを提供する必要が出てきましたわけです。

DX化については、社員向け研修等がすでに始まっていますが、モンスターラボとの協業は「明確なアウトプット」が見られるのが、経験として何より大きいです。協業と人材交流を通して、最先端行くパートナーからの知見を吸収し、日本郵便のサービスレベルの一層の向上を図りたいと思っています。

最後になりますが、今回はモンスターラボとの橋渡しをしてくれた日本郵政キャピタルの存在も大きかったです。「e発送サービス宛先ご指定便」に限らず、ユーザーインターフェイスのデザインは仕様書に書きづらいんです。その痒いところを汲み取ってくれて、ユーザーインターフェイスの設計にも強いモンスターラボを紹介してもらいました。だからこそ、このスピード感でサービスローンチを実現できました。この勢いを落とさず、さらなるサービスを展開していきたいと思っています。

インタビュー後記

日本郵便は創業1871年、150年を越える歴史を持っている。創業者は歴史の教科書に出てくる前島 密(まえじま ひそか)。日本郵政のホームページによると、前島は「漢字御廃止之議」を進言し、ものごとを広めるには、難しいことを簡易化せよ、と言ったそうだ。


モンスターラボの創業は2006年。同社のホームページには「多様性を活かし、テクノロジーで世界を変える」と書いてある。

「e発送サービス 宛先ご指定便」は、まさに「難しいことを簡易化」するために「テクノロジー」が活用された。そこには150年の歴史をまたぎ、両者の思想の交点が存在しているような気がしてならない。


モンスターラボホールディングス
常務執行役員/デジタルコンサルティング事業デリバリー統括責任者 宇野 智之
同事業部サービスマネージャ 久良木 慎二
同事業部DXコンサルタント 梶山 雅生

日本郵便 郵便・物流営業部 営業システム担当
係長 宮永 朋彦
主任 住本 裕一

曽根康司(そね・こうじ インタビュアー)◎EXIDEA取締役/CPO(Chief Product Officer)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程EMBAプログラム修了(MBA)。時計店経営・バイヤーからインターネット業界に飛び込む。アマゾンジャパン、ヤフー、キャリアインデックスを経て、2022年7月よりEXIDEAにジョイン。「焼肉探究集団ヤキニクエスト」メンバーでもあり、全国数百件の焼肉店を食べ歩いている。

文=曽根康司 編集=石井節子

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