Dropboxが従業員の16%を削減、AI時代到来のため

Dropboxは、AIの新時代に突入するという(Getty Images)

Dropboxは、AI(人工知能)がもたらす機会を逃さないために、500人の雇用を削減することを公表した。

DropboxのCEOであるドリュー・ハウストンは、そのブログ記事の中で、同社はAIの利点を活用することに集中しており、そのためには従業員に新しいスキルが必要であると主張している。

ハウストンは「コンピューティングのAI時代がついに到来しました。私たちは長年、AIが新たなスーパーパワーを与え、ナレッジワークを完全に変革してくれると信じてきました。そして、今年の製品パイプラインが示すように、私たちはこの未来に向けて長い間構築を続けてきたのです」

「目の前にあるチャンスはかつてないほど大きいものですが、それをつかむために緊急に行動する必要もあるのです。ここ数カ月、AIは世界中の人々の想像力をかき立て、私たちの誰もが予想できていなかったほどに、AIを搭載した次世代製品の潜在的な市場を急速に拡大させています。しかし、この勢いは競合他社にも多くの同じ機会を促しているのです」

「理想を言えば、あるチームから別のチームへ人を移動させるだけで済ませたい。そして、すでに可能な限りそれを実行してきました。しかし、私たちの次の成長ステージでは、特にAIや初期段階の製品開発において、これまでとは異なるスキルセットの組み合わせが必要となります。ここ数年、この分野でのすばらしい人材を獲得してきましたが、さらに多くの人材が必要になるでしょう」

景気の悪化

ハウストンによれば、Dropboxが人員を削減するのはAIへのシフトだけが理由ではない。彼は、景気後退が「お客様を圧迫し、ひいては私たちのビジネスを圧迫しました」と書いている。

「その結果、プラスのリターンをもたらしていた投資の一部は、もはや持続可能ではありません」と彼はいうが、満足のいくリターンを得られなくなった投資や商品の具体名については言及していない。

Dropboxは、5月4日に第1四半期の決算を発表する予定だ。2022年度の売上高は前年度比7.7%増の23億ドル(約3115億8000万円)、純利益は2億ドル(約271億3000万円)以上増え、5億5320万ドル(約750億4000万円)だった。

退職の流れ

対象者には、米国時間4月27日にチームリーダーとの個別面談の招待状を送付し、人員削減の詳細と質問の機会を提供する予定だ。退社が決まった者には「今日と明日、仕事を片付け、同僚に別れを告げる時間がある」とされているので、この週末までに退社が行われることが示唆されている。

影響を受けるスタッフには16週間分の給与が支給され、勤続年数ごとに追加の週休が支払われる。健康保険は6カ月間継続され、スタッフは会社から支給されたデバイスを個人的に使用することができる。

ハウストンは、会社で行われているこの変化は「痛みをともなう」ものだが「私たちの未来のために必要なこと」だと付け加えている。

そして「こうした移行は決して容易ではありませんが、Dropboxがモバイルとクラウドへのシフトの最前線にいたように、AI時代の最前線にいることを確実にする決意です」と書いている。

「機械知能が、既存のビジネスを再考し、新しいビジネスを発明するためのツールを提供してくれるため、全員が協力する必要があるのです。そして、将来に向けてDropboxが最高のポジションを確保し、私たちの可能性を最大限に引き出すために、全力を尽くすことを約束します」

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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