アート

2023.04.30 18:00

岡﨑龍之祐にとって「祈り」とは 東京と故郷ヒロシマとの違い

縄文土器と「祈り」の関係性

岡﨑龍之祐の代表作のひとつが、縄文土器に着想を得たデザインのドレス「JOMONJOMON」シリーズ。代官山で開催中の個展「002」でも、その新作が展示されている。

 
個展「002」より「JOMONJOMON」/ RYUNOSUKEOKAZAKI

このシリーズの制作にあたって、岡﨑が縄文土器に着目した背景にも「祈り」がある。

かつて縄文土器をつくった縄文人たちは、自然の脅威から身を守るため、あるいは自然に神聖さを見出して、祈りを捧げていた。その祈りは、ときに特徴的な装飾を用いた造形でも表現されてきた。

「縄文人が“生きること”に願いを込めて呪術的につくった縄文土器の力強い造形は、僕の身体行為とも結びついています。だから、僕がつくっている作品ではあるのですが、勝手に僕の手がつくり出していくような感覚があります。その行為が“祈り”に結びついていると考えます」

「手」が作品を生み出すということ

作品制作は、都内にある自宅兼アトリエで行う。まずは素材と向き合うことから始まり、ドレスであれば生地を触りながら、伸縮性や強度、表面の見え方などを確認して、イメージを膨らませていく。

今回の個展で新たに発表した彫刻作品「PIMT」でも、その方法は変わらない。木材に触れて向き合い、それを即興的に組み合わせ、積み上げていった。その抽象的な形の中に、岡﨑の精神が宿っていくのだ。

ひとつの作品に集中することもあれば、同時に複数の作品を手がけることもあるという岡﨑。試行錯誤の過程では、常に手を動かしながら「祈り」を続けている。

「祈りが偶発的にいろんな形で生まれるので、作品一つひとつに個性があります。すべての作品にそれぞれの良さがあるんです」

個展「002」はTHE FACE DAIKANYAMA(東京都渋谷区)にて5月4日まで開催中。

>>続く

◤30U30 AIUMNI INTERVIEW◢
「リュウノスケオカザキ岡﨑龍之祐」
#1 岡﨑龍之祐にとって「祈り」とは 東京と故郷ヒロシマとの違い 
#2 「リュウノスケオカザキ」の岡﨑龍之祐が 初披露の彫刻作品にこめた思い 
#3 手の経験を増やすことで、作品が「進化」する丨岡﨑龍之祐
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「リュウノスケオカザキ」の岡﨑龍之祐が 初披露の彫刻作品にこめた思い



取材・文=尾田健太郎 編集=田中友梨 撮影=小田駿一

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