1〜3月期のGDP成長率は2022年10〜12月期の2.6%増から減速した。個人消費や輸出、政府支出が主な押し上げ要因となった半面、企業投資や住宅市場が低迷し、伸びの一部を相殺した。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリは今回のデータについて、GDP成長率は予想を下回り、個人消費支出(PCE)価格指数は予想外の上昇となるという「悪いところどり」になったと解説する。PCE価格指数は消費者が商品やサービスに支払う価格の指標で、エネルギー・食品を除くコア指数は4.9%上昇と、10〜12月期の4.4%から伸びが加速した。
ザッカレリは、米連邦準備制度理事会(FRB)が過去1年、積極的に利上げを進めるなかで雇用市場と個人消費は「相当よく」持ちこたえてきたが「景気は減速し、インフレ率はFRBの長期的目標である2%にほど遠い」と指摘。物価が緩やかにならなければ、利上げはさらなる景気減速を招く一方だろうと警告する。
パンテオン・マクロのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソンも先行きをあまり楽観していない。シェファードソンによると、1〜3月期の成長は1月から2月にかけて気温が例年よりかなり高かったことと、インフレ率を反映した年に1度のソーシャルセキュリティ(公的年金)支給額の調整(生活コスト調整)によって押し上げられたが、これら2つの要因による効果は4月以降、薄まっていくと考えられる。
シェファードソンは、さらにここ数週間は企業投資の見通しも悪化していることから、米経済は4〜6月期と7〜9月期に縮小する可能性が高そうだと予想し「リセッション(景気後退)が近づいている」と顧客に警鐘を鳴らしている。
EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコは「物価の高止まり、高い金利、そして現在の信用状況の引き締まりが重くのしかかり(中略)、2021年10〜12月期には6%近くだった経済成長が2%にも届かない水準に鈍化している」と述べ、これらの要因は向こう数カ月にわたって企業や市場を制約し続けるとの見方を示す。
FRBによる利上げや世界のほかの中央銀行による金融政策引き締めは昨年、米国の住宅市場や株式市場の急落を引き起こしたが、多くの専門家が予想していたリセッションはまだ現実のものになっていない。ただ、さまざまな業界で人員削減が相次ぐなど、ここ数カ月、異変の広がりを示す兆候は強まっている。
FRBが今月公表した3月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、事務方が年内に「緩やかなリセッション」に入ると想定していることが明らかになった。投資会社シュローダーによると利上げの影響が経済全体に波及するには2年かかるとされ、リセッション入りの時期としては理にかなう。
次回のFOMCは来月2〜3日に予定されている。金利先物市場から政策金利を予測する「フェドウオッチ」によると、前回に続き0.25ポイントの利上げの確率が85%、据え置きの確率が15%となっている。この数週間、追加利上げの確率が上昇の一途をたどっている。
(forbes.com 原文)