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2023.05.11

もう着払い伝票はいらない? 郵政発「1億2千万人向け」新サービスとは

日本郵便 住本 裕一(左)、宮永 朋彦(中央左)/ モンスターラボホールディングス 宇野 智之(中央)、久良木 慎二(中央右)、梶山 雅生(右)

「e発送サービス宛先ご指定便」。

2022年2月に日本郵便が開始したサービスである。個人が二次元バーコードを使って簡単に荷物を発送できる仕組みである。

背景には、EC市場の拡大に伴い、ECサイトの利用者自身が商品の交換・返品を行ったり、サブスクリプション型(定期購入型)のサービスでレンタルした商品を返送するなど、「個人が発送する」ケースが増えてきたことがあった。

この「e発送サービス宛先ご指定便」の開発支援を行ったのが、モンスターラボホールディングスの日本における事業会社、モンスターラボである。
モンスターラボホールディングス デジタルコンサルティング事業部 DXコンサルタント 梶山 雅生

モンスターラボホールディングス デジタルコンサルティング事業部 DXコンサルタント 梶山 雅生


そして、モンスターラボの出資者には日本郵政グループの日本郵政キャピタルが名を連ねており、今回の連携のきっかけを作っていたのだった。本稿では、モンスターラボ、日本郵便双方の立役者たちに話を聞いた(なお、本記事は日本郵政キャピタルのホームページに掲載された記事「ユーザ視点の『デザイン思考』で実現した返品サービスの利便性向上」を加筆・改訂したものである)。

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フリーマーケットサイト隆盛で起きた「異常事態」

インタビュアー(曽根康司、以下──):日本郵便のサービス開発と聞くと、トップダウンの号令から始まり、何事も大がかりで、開発もいわゆるウォーターフォール型(要件に沿って、決められた順序で進めていく開発手法)だという印象が個人的にはあるのですが、実際はどうだったのでしょうか?

日本郵便 宮永 朋彦:日本郵便の規模の大きさから、そのように想像される方も多いと思いますが、実際は違います。

今回の「e発送サービス宛先ご指定便」を開発するに至ったきっかけの一つは、営業システム担当として、成長するECサイトの「返品の受付」をいかにスムーズするかというところが、はじまりでした。返品の物流ニーズが高くなっていることも当社の営業サイドから聞いていました。

どういう形で返品で実現しているのか調べていくと、やはり個人に「着払いの伝票」を手書きで書いてもらい返送する形が一般的でした。

日本郵政グループでは、2021年5月に「JPビジョン2025」を発表し、郵便・物流事業は「デジタル化された情報に基づくオペレーションの効率化を進めるとともに、お客さまにとっての差し出しやすさ・受け取りやすさを追求します。」と宣言していますが、「着払いの伝票」の手書きは、顧客の負担の大きさからも、なんとかしたいという想いが担当としてもありました。
日本郵便株式会社 郵便・物流営業部 営業システム担当 係長 宮永 朋彦

日本郵便 郵便・物流営業部 営業システム担当 係長 宮永 朋彦

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文=曽根康司 編集=石井節子

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