経済・社会

2023.04.27 16:00

韓国大丈夫か 米韓首脳会談・ワシントン宣言は韓国版プラザ合意か

ホワイトハウスで乾杯する韓国の尹錫悦大統領(左)と米国のジョー・バイデン大統領(Photo by Alex Wong/Getty Images)

ただ、米側は今回、尹大統領を迎えるにあたり、「韓国で燃えさかる核武装論を絶対に鎮火させる」(関係筋)という強い決意で臨んでいた。おそらく、その表れだろうが、米国は核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射できる戦略原潜(SSBN)をほぼ40年ぶりに朝鮮半島に派遣するという。戦略原潜の仕事は、核抑止哨戒の任務(SSBNパトロール)だ。核攻撃に対する核報復戦力であり、敵に絶対に知られないことに意義がある。オハイオ級戦略原潜が搭載する「トライデントD5」は射程1万キロ以上だ。朝鮮半島に派遣されることは、韓国に対する安心材料にはなるが、北朝鮮のそばに近づく必要はない。だから、これが米国からの出血サービスの贈り物ということなのだろう。
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しかし、戦略原潜の派遣も、従来と同じ、「韓国心配するな、安心しろ」という米国のメッセージに過ぎない。韓国が米戦略原潜の運用に口出しできるわけではない。韓国内では、戦略原潜などを常時、朝鮮半島周辺に展開すべきだ」という声もあるが、軍事的には、戦略原潜の命とも言える隠密性が危険にさらされてしまう。そんなことができるはずもない。結局、現実は何も変わらなかった。

今回、尹大統領はワシントンでアーリントン国立墓地への訪問など、様々な行事をこなしている。米放送局記者の知人は「どの行事にも、大勢の人が詰めかけている。バイデン政権最初の国賓として、昨年末にやってきたマクロン(仏大統領)よりも数が多い」と語る。一方、「きっと会談で勝ちすぎたんで、せめて歓待して気分良く帰ってもらおうということなんだろう」と話した。座持ちの良さから、日本政府から「ワシントンの永田町男」という声も上がったほどのバイデン氏だ。接待はお手の物だろう。外交は「51対49」でほどほどの勝利が鉄則とされているのに、米国も余裕がないのか、人が悪い。

尹錫悦政権の外交ブレーンの1人は「文在寅政権は中国にオールインした。我々は米国にオールインした。これは民族のDNAかもしれない」と語った。
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文=牧野愛博

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