宇宙

2023.04.28 16:30

木星の最新探査機が「死んだ」衛星に21回も接近する理由

ガニメデより小さく、イオとエウロパより大きいカリストは、ガリレオ衛星の中で唯一、岩石で包まれた金属(鉄とニッケル)コアを持たないが、単なる氷と岩石の混合よりは複雑かもしれない。「カリストの表面は他の衛星と比べて非常に古いように見え、内部構造も大きく異なると私たちは考えています。コアの上に固い殻や別の層があるとは考えていません」とJUICEに搭載されている磁気探知機の主任研究者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンの惑星科学者であるミッシェル・ドハティ教授は述べる。

1990年代にカリストを撮影したNASAの探査機ガリレオのデータは、エウロパがそうであるように、カリストの内部に地下海が存在している可能性を示している。「ガリレオの磁気探知機は、カリストを通過した際、データ中にいくつかの兆候を発見しました。それは液体の水の海の中で電流が流れていると説明できます」とドハティは言う。

カリストの地下に海が発見されれば画期的な成果になる。「以前のデータは曖昧なので、JUICEの目標はそれをはっきりさせることです」とウィタセ。「カリストの内部に液体の水があれば、興味深いことです。なぜなら、死んでいると思われていた衛星に内部活動があることを意味しているからです」

「私たちがカリストとガニメデの両方について知りたいことの1つは、海が地表からどのくらいの深さにあるかです」とドハティ。「エウロパに注目が集まっている理由は、その海が地表のかなり近くにあると考えられているからです」

NASAのエウロパ・クリッパーは2024年10月に打ち上げられ、2030年4月に到着予定だが、どこに着陸すべきかに関してさらなる情報を惑星科学者にもたらすだろう。「しかし、カリストとガニメデについて、氷床の厚さがどのくらいなのかを私たちは知りません」とドハティは言う。

いずれにせよ、結果は惑星科学者たちにとって興味深いものになるだろう。「おそらく、衛星が木星から遠くにあると地質学的活動は少なく、生命に必要な条件が揃うためには、木星に近い必要があるでしょう」とウィタセは言う。惑星科学者たちはもうすぐその答えを見つけることになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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