「制度を作るのではなく、現場の方々が仕事に夢中になり、フロー状態になれるような組織作りを行い、ダメだった選択肢はガンガン消していけばいいんです。どうやったら経営にインパクトを生み出せるのか、人事としてそこから逆算して色々取り組んでいただければ幸いです」(ピョートル氏)
谷本氏も「我々はどうしても、何か組織を変革するときに制度をつくるというふうに考えがちですが、アジャイルに、現場の方たちが活躍できるように見直し続けていくということが重要ですね」と続けた。
さらに、トークは個人のモチベーションをどう高めるかにも波及。しかしここでもピョートル氏は、モチベーションやエンゲージメントなどはどうでもいいと、「本質」を捉えることへの重要性を説いた。
「要はモチベーションが下がっている、エンゲージメントがない理由がどこかにあります。それは環境や上司、あるいは本人の問題なのかもしれません。まずは本人が客観的な視点で分析し、声を上げることが必要です。
例えばスポーツでプロのマラソン選手が、『モチベーションがないので走れません。私のモチベーションを上げてください』というと、厳しい場合には『じゃあ、やめてください』という反応が返ってきますよね。試合に出て、アウトプットを出す側の人間として責任がある。それはビジネスでも一緒です。皆さんが複雑に考えてしまっているのでは、と思います」(ピョートル氏)
個人の「ときめき」が組織の価値を生む
一方で、ビジネスならではの難しさもある。谷本氏からは「スポーツでは試合に勝つという分かりやすいゴールがあるが、ビジネスではゴール設定が明確ではなく、社員のモチベーション低下につながるケースも考えられるのではないでしょうか」と問いが投げかけられた。堀尾は、「日本の組織では、目標がない人は非常に多いと感じます。結果が重視され、過程が評価される体制ができていません。結果を出すためにどうするのかというアルゴリズムが組織になく、具体的な経営戦略も用意されていないのが問題です」と指摘。
ピョートル氏もこれに同意し、「パラダイムシフトが起きる際、残念ながら会社の制度がアップデートされていないことはあります。しかし、そこで安易にお金をかけて、単なるシステムを導入して解決した気になっているのは、大きな間違いです。社員にワクワクすることは何か、自分で考えさせることが必要です」と説明した。