SGLが映し出す1.3kmの画像の中で宇宙船を動かし、それからアインシュタインリングの明るさの変化を測定すれば、1回に1ピクセルずつ画像を「スキャン」したことになるという。
このはるか彼方にある地球型惑星に対して、1年のうちに100x100ピクセルかそれ以上のスキャンが可能だと彼はいう。もっと地球に近い惑星、たとえばケンタウルス座アルファ星(4.3光年)なら、メガピクセルの画像さえ可能だという。
そこからは、画像とデータ処理の問題だ。
「ほとんどの画像ピクセルのデータが収集できたら、データ処理を行いターゲットの鮮明な画像を再現します」とトゥリシェフはいう。地球からの距離によって、画像回復にかかる時間は数カ月から1年強ほどになる。
遠方の恒星のハビタブルゾーンを周回していることが初めて確認された地球型衛星ケプラー186fの想像図(NASA AMES/JPL-CALTECH/T. PYLE)
ミッションが地球と交信する方法について
地球と650AUのところにある宇宙船との間の片道を光が進む時間は3.75日だとトゥリシェフはいう。光通信を使えばメガビット/秒の転送速度が可能であり、ミッションが観測した原データを送り返すのには十分だ。プロジェクト最大の課題とは?
NASAのNIAC環境から現実世界への移行だとトゥリシェフはいう。「現在私たちは、ミッションを実現するためにNASA、政府、学術界、産業界および国際パートナーと協同で仕事をしています」しかし、今や最大の課題は資金調達だ。ミッション全体の費用見積もりは、最大5億2000万ドル(約698億円)に上る。
もしミッションが成功したら、天文学者は、特定の太陽系外惑星が生命を育んでいると言えるようになるのだろうか。
生命の存在や生命の特徴を捉えるために役立つスペクトル線(酸素、窒素、メタン等)を探すとトゥリシェフはいう。さらに同ミッションは、大気分光法を用いて、硫化ジメチル(太陽藻類が生成する有機硫黄)やイソプレン(主として植物が生成する生体化合物)などの二次代謝分子となっている弱い生命痕跡も探す可能性もある。
そのような二次的生命痕跡と合わせることで、同ミッションは生命居住性の兆候を明確に特定するのに十分なデータを取得するだろうとトゥリシェフはいう。
人類が近くの地球型惑星の生命を探すための最善の方法なのか?
「光学的手法の基本的制約を踏まえると、SGLの利用は、私たちが生きている間に太陽系外惑星の地表を見る唯一の方法です。その意味で、SGLは究極の技法であり、他のどんな新技術よりも優れています」とトゥリシェフは言った。(forbes.com 原文)