例えば2010年、東シナ海に浮かぶ無人島の尖閣諸島の領有権を巡る日本政府との対立を深めるため、中国政府は日本向けのレアアースの輸出を制限した。中国政府はまた、オーストラリアが新型コロナウイルスの起源に疑問を呈したという理由だけで、同国に対する貿易制限を行ったばかりでもある。レアアースはこの規制の対象外だったが、中国政府の行動は取るに足らない挑発に対しても、極めて攻撃的に貿易制限をしようとする姿勢を示していた。同国政府は過去5年間に何度か、米国へのレアアース輸出を抑えることで、米政府に圧力をかけるという考えをちらつかせてきた。
こうした脅威に耐えるのではなく、日本としてはG7が協力してアフリカや南米にレアアースの代替源を確保し、採掘を支援するためのインフラストラクチャー資金を提供するところまで持っていきたい。
岸田首相が議題を準備し、官僚が必要な書類を作成しているが、G7がこの問題を扱うのは今回が初めてではない。昨年ドイツで開催されたG7サミットの共同声明では「経済安全保障」という言葉が大きく取り上げられた。G7がこの問題で結束するかどうかは、来月まで世界が待たなくてはならないのは当然だ。
こうした努力は、代表者らが詳細を突きつけられると白紙に戻ってしまうことが多い。G7がこの問題で合意に至らなかったとしても明らかなことは、世界で貿易を行うG7諸国が中国の意図や略奪的な貿易慣行、あらゆる優位性を利用した横暴さに気付き、たとえ歩調を合わせなくとも個別に、こうした中国のやり方に対抗するための措置をとっているということだ。
(forbes.com 原文)