音楽

2023.04.29

再び「ウォークマン」の出番、カセットテープ人気上昇中

1988年の日本ツアーの移動中、新幹線のなかでウォークマンで音楽を聞くジョージ・マイケル(Michael Putland/Getty Images)

一過性ではなさそうなカセット人気

BPIの最高戦略責任者で暫定の最高経営責任者(CEO)も務めるソフィー・ジョーンズは「ストリーミングが圧倒的に主流のフォーマットになるなか、カセットやレコードの人気再燃は、フィジカルフォーマット市場も引き続き重要であり、ファンが音楽を消費する仕方はいろいろあるということを浮き彫りにした」と解説する。カセットが音楽消費全体に占める割合はごく小さいとはいえ「かつて愛好されたフォーマットが再び流行しているのは喜ばしいこと」とも述べている。

米国でも2022年のアルバムカセット販売数は44万本と、前年の34万3000本からさらに大きく伸びた。アルバム販売全体に占める割合は0.44%にすぎないものの、数年前は消滅しかけていたことを考えると力強い数字と言える。2015年には、米国内のカセットアルバム販売数は7万4000本にとどまっていた。

30年前まではカセットがアルバム販売をリード

音楽市場ではしばらく前からレコードの人気が再び高まっていて、かつて流行に敏感なクールキッズや文化的に行き場を失った人たちの週末のたまり場だったレコードショップも、息を吹き返しつつある。カセットの復活はそれに続く動きだ。

忘れてはいけないのは、1980年代初めから1990年代初めまで、米国で販売されるアルバムの主なフォーマットはカセットだったことだ。カセットの世界販売数は1989年にピークの8300万本を記録している。同年のクリスマスシーズンに最も売れたアルバムは、フィル・コリンズの『バット・シリアスリー』だった。

2022年に米国で最も売れたカセットアルバムは映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(Guardians of the Galaxy Vol. 2)』のサウンドトラックで、販売数は1万7000本。ガーディアンズシリーズではカセットがキーアイテムの1つとなっていて、同年のカセット売り上げトップ10には関連作品が3つランクインしている。

ルミネートによると、2022年に米国で最も売れたカセットアルバムのランキングは次のようになっている。

1位 『Guardians of the Galaxy, Vol. 2: Awesome Mix Vol. 2』(1万7000本)
2位 テイラー・スウィフト『Midnights』(1万4000本)
3位 『Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 1』(1万3000本)
4位 ハリー・スタイルズ『Harry’s House』(1万1000本)
5位 ビリー・アイリッシュ『Happier Than Ever』(8000本)
6位 『Guardians of the Galaxy: Cosmic Mix, Vol. 1』(8000本)
7位 ニルヴァーナ『Bleach』(7000本)
8位 ボー・バーナム『Inside (The Songs)』(5000本)
9位 バッド・バニー『YHLQMDLG』(5000本)
10位 ゴースト『Impera』(5000本)

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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