臨床文書作成の課題は、現在の医療システムが直面する非常に深刻な側面の1つだ。Annals of Internal Medicine(アナルズ・オブ・インターナル・メディシン、米国内科学会の発行する医療情報雑誌)に掲載された2016年の研究では「医師が患者に直接臨床で向き合う時間を1時間提供するごとに、診療当日内に電子カルテ記録やデスクワークのためにさらに2時間近くが費やされている」ということが判明している。つまり、医師は患者との直接対話ではなく、患者との面会記録の作成に2倍近い時間を割いているということでとても非効率な医療提供システムに拍車をかけている。国内および世界的な医師不足の深刻さ、タイムリーな医師の予約を取るために日々苦労している数多くの人々、そして高齢化率の上昇を考えると、この非効率性を解決する必要がある。
だからこそ、テクノロジー企業はこの深刻な問題に目を向け、実行可能な解決策を生み出すことを望んでいるのだ。
プレスリリースによれば「AWSとの協働により、3MのHISはその会話型AIプラットフォームを進化させ【略】ワークフローに直接統合し、医師が患者の健康記録に入力される情報を確実にコントロールできるよう支援する、責任ある支援型のML(機械学習)臨床文書作成および仮想アシスタントソリューションを提供する」とのことだ。
AWSの医療AI担当ゼネラルマネージャーのテシン・サヤドはこう説明する「AWS MLサービスを利用することで、3Mは医師と患者の会話から承認済の情報を直接ワークフローに統合します、このことで患者に焦点を当てることが可能になります。AWSは、MLと生成AIを駆使して、臨床スタッフのための安価で一貫性のある、安全で正確なメモ書きや文書作成へのアクセスを拡大する3Mを、より強力にサポートできることを楽しみにしています」
2つの企業には、生成AIの力を真に理解し、それが医療における効率性というまったく新しい領域をいかに切り開くかを示すために、やるべきことがたくさんあるのは間違いない。他のテクノロジーと同様、開発には注意が必要だ。特に、患者の個人的な健康情報が含まれるため、特段の注意が必要となる。しかし、もし倫理的、健全、安全な方法で開発が進めば、医療業界に革命をもたらすことだろう。
(forbes.com 原文)