情報筋によると、これらの問題は、TikTokがデータストレージの容量を急速に拡大しようとし、そのプロセスに欠陥が生じた結果だという。
また、TikTokのデータセンターの運営は、親会社である中国のバイトダンスの事業と密接に絡み合っている模様だ。この施設では、2020年に米国防総省が中国軍の支配下にあると発表し、先月は米商務省が制裁リストに追加した中国のインスパー(Inspur、浪潮信息)社製のサーバーが使用されている。
さらに、先週はバイトダンスの子会社のBeijing ByteDance Technology からデータセンターの技術者に、サーバーの作業指示が送られていたことが社内文書で判明している。
TikTokは、ジャーナリストを監視していたとして連邦犯罪捜査を受けており、バイデン政権は、バイトダンスにTikTokを売却しなければ米国でアプリを全面的に禁止すると圧力をかけている。さらに、超党派の議員連盟とホワイトハウスは、中国政府がTikTokを支配することで、米国民の重要データが流出することを懸念している。
TikTokは、このような懸念に対処するために「プロジェクト・テキサス」と呼ばれる取り組みを進め、バージニア州のサーバーから米国人のデータを取り出し、オラクルが所有するテキサス州のデータセンターにすると述べている。しかし、TikTokの周受資(ショウ・ジ・チュウ)CEOは先月の下院委員会で、米国のユーザーデータは現在も「バージニア州の当社のサーバーにある」と証言した。
フォーブスの質問に対し、同社の広報担当者のモーリーン・シャナハンは、中国のインスパーのサーバーを使用していたことを認めたが、TikTokは「かなり長い間、そのベンダーから調達していない」と述べた。インスパーは、マイクロソフトやIBM、インテルなどの米国大手企業とも取引を行っている。
彼女は、Beijing ByteDance Technologyからの作業指示は「チケット発行システム」に関するもので「ユーザーデータへのアクセスは提供していない」と述べた。また、TikTokは昨年10月に新しい米国ユーザーのトラフィックをバージニア州のデータセンターに送ることを停止しており、2022年10月以前に作成された投稿やDMなどの米国ユーザーデータは現在もこれらのサーバーに保持されているが、最新のデータは保持されていないと述べた。同社は、2023年末までにこのデータをサーバーから削除する予定という。