ペットフードが環境に及ぼす影響
世界全体で飼われているペットを一国に例えると、その肉消費量は、中国、米国、ブラジル、ロシアの消費量に次いで5位となる。最近出版された本では、犬の二酸化炭素排出量は多目的スポーツ車(SUV)に匹敵すると指摘されている(ただし、これには異論もある)。米国では、ペット用品の炭素排出量は、年間約6400万トンに上る。これは、ガソリン車1420万台分の年間排出量に匹敵する。炭素排出量を減らすには?
ペットは人間が生きていく上で極めて重要な役割を担っている。ペットは家族の一員であり、飼い主の人となりを表す存在だ。したがって、ペットの飼育を支えながらも、炭素排出量を減らす方法を見つけることが気候変動対策となる。まず、ペットの食生活を変えることが最初の対策となるだろう。猫は肉を食べなければ生きていけない「偏性肉食動物」だが、犬は毎回の食事に必ず肉が必要というわけではない。犬にとっては、肉食よりも菜食の方が健康に良いとする研究報告もある。これこそが変化の要となるのかもしれない。
一部では、ペットに必要以上の栄養を与えることが推奨されている。これにより、ペットフード業界は、栄養面よりもむしろ消費者の需要に応えるために肉類を豊富に含む製品を提供している。
人間の場合と同様、ベジタリアンのペットフードは肉を含む製品より炭素排出量が少なくなる。だが、肉を含む食品の中にも違いがある。ウェットフードでは、カロリーの90%が動物性原料であるのに対し、ドライフードでは45%と、後者は前者より炭素排出量が少ない。
この違いは、全体的に大きな影響を生む。ブラジルの事例を基にした研究では、体重10キロの犬の年間炭素排出量は摂取する食品によって異なり、ドライフードでは年間828キロなのに対し、ウェットフードでは6541キロに及ぶと報告された。参考までに、ブラジル人1人当たりの年間炭素排出量は6690キロだ。
つまり、気候変動は過剰消費という見過ごすことのできない側面を持っているということだ。結果的に、気候変動対策には公共政策や個人の生活様式の変革が必要となる。航空機での移動を減らし、人間の食事の選択を変えるといった道義的な責務については、既に議論が行われている。私たちはこの議論を、ペットに与える食品の炭素排出量にまで広げる必要があるのかもしれない。
(forbes.com 原文)